理系と学ぶ家庭菜園術

理系なりの解釈で野菜づくりを学んでいきます

農家を震撼させるサツマイモ基腐病とは?家庭菜園で気を付けるポイントを解説!

こんにちは、けいたろうです。

今回は数年前からサツマイモ農家を震撼させている「サツマイモ基腐(もとぐされ)病」について解説します。

サツマイモは栽培も比較的簡単ですし収穫も楽しく、さらに食べてもおいしいということから家庭菜園でも人気の野菜ですよね。

そんなサツマイモですがこの恐ろしい病気にかかり、最悪の場合収穫がゼロということにもなりかねません!

この病気についてはとても怖い病気だと感じましたので、ぜひ皆さんにも共有したいと思い記事にしました。

これから解説する対策事項をよく理解して、家庭菜園レベルでも対策をしていただきたいと思います。

 

 

この記事はこんな人におすすめ!
・サツマイモを栽培中の方
・病害虫のトレンドを押さえておきたい方

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
・持ち込まない、増やさない、残さないの対策を徹底しよう!

 

サツマイモ基腐病とは?

発生時期や被害状況

サツマイモ基腐病は2018年秋頃から鹿児島県や宮崎県で発生した病害です。

サツマイモ基腐病にかかった株は根本付近が茶色くなって立ち枯れ、病気が進行するとイモが腐敗します。2018年に発生が確認された病気ですが、サツマイモ基腐病はいまや全国各地に広まっています。

このように急速に全国に拡大した理由としては、病原菌に感染した種苗が全国に流通したことが挙げられます。

病気が発生した農家では収穫したうち、3割を廃棄せざるを得なかったのだとか。

サツマイモ基腐病は押さえこみが難しく、畑全体に病気が広がると採算が合わなくなるため栽培をやめようと考える農家もいるほどの被害が各地で発生しています。

 

サツマイモ基腐病の病原菌

サツマイモ基腐病の病原菌は糸状菌です。いわゆるカビの仲間であり、水などを媒介して感染範囲を拡大させます

この糸状菌ヒルガオ科であるカンショにのみ感染し、雨など水に触れると胞子が漏出し、水の流れにのって隣の株、さらにまた隣の株へと感染をどんどん広めていき、最悪の場合畑全体にいきわたります

この病気が厄介なのは、発病の初期症状がわかりにくいことです。

旺盛にツルが繁る時期では細部まで株の状態を見ることが難しいためです。

次にご紹介する見るべきポイントを押さえて、株の状態を常に注視しましょう!

 

こんな症状があったらサツマイモ基腐病かも?

茎葉が繁茂する時期には葉が黄や紫色に変色したりツルが黒~黒褐色に変色したり、株が萎れたりします。

また発病中の株は地際の茎が褐色~暗褐色に変色し、腐敗(壊死)します

サツマイモは旺盛に茎葉を繁茂させますが茎葉、ツル、株元の様子をこまめに観察し、病気にかかっていないかチェックすることが大切です。

このチェックは、これから紹介する対策を実施している方も怠らないほうがよいです。

なぜなら、対策をしていても外部から(たとえばお隣の畑から)病原菌が感染するケースもあるからです。

 

サツマイモ基腐病対策

持ち込まない対策

①健全苗を使用する

健全な苗とは無発病地域の苗であったり、適切な方法で管理された苗のことです。

できれば、生産履歴がはっきりしたものが入手できると安心です。

ただしホームセンターや種苗店に売っている苗で、そこまで確認することが難しい場合は、次の対策を実施するとよいでしょう。

 

②苗消毒をする

サツマイモ基腐病の病原菌に効果のある消毒剤があります。

ベンレート水和剤もしくはベンレートT水和剤20という薬剤を希釈した液に基部を30分程度浸漬処理しましょう。

こうすることで、万一苗に病原菌が潜んでいたとしても殺菌することが可能です。

ただし、これらの薬剤は当然農薬ですので、抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。

どうしても農薬を使用したくない場合は、次でご紹介する増やさない対策の徹底が必要です。

 

増やさない対策

①早期発見をする

定植後、病気を早期発見し感染を食い止めることが増やさない対策につながります。

サツマイモ基腐病は定植後約1か月頃から発生が認められるケースが多く、定植後1か月経過後からは特に注意して、株の様子を観察する必要があります。

感染が疑われる株があった場合には、早期に除去することが望ましいです。

早期に収穫することで芋の腐敗が進んでいないタイミングで収穫できる可能性が高まります。

ただし、芋の腐敗症状は貯蔵中にも進行する場合がありますので、ご注意ください。

 

②農薬で防除する

サツマイモ基腐病に対する葉茎散布剤としては、銅水和剤、炭酸水素カルシウム・銅水溶液およびアゾキシストロビン水和剤が農薬登録されています。

農薬の効果が認められてはいるものの、病気の株の早期除去が望ましいと思います。

 

残さない対策

残さない対策で一番大切なことは、病気に感染した株の残渣を土中に残さないということです。

残渣が土中に残ると、越冬して次作の発生源となります。

土壌消毒の方法としては薬剤を使用する方法や微生物の力を借りて残渣をしっかり分解する方法があります。

微生物のはたらきを活発にするためにビニール等で土を多い、土中温度を15℃以上で保ち、適切な水分を保つことも土壌消毒の一環としては有効のようです。

 

微生物のはたらきを活発化させるためには、えひめAIの活用も効果的かもしれません。

 

まとめ

今回はサツマイモの恐ろしい病気、サツマイモ基腐病について解説しました。

私自身はまだ感染した株を直接見たことはなく、写真で衝撃をお伝え出来ないことが申し訳ないのですが、ぜひ皆さんも写真等でその恐ろしさをご自身の目で確認してみてください。

今回ご紹介した3つの対策「持ち込まない」「増やさない」「残さない」を意識してサツマイモ栽培に挑戦していただけたらと思います。

サツマイモ基腐病は最近では2008年に台湾、2014年に中国、2015年に韓国とアジア地方でも拡大していた病気でした。

現在日本でも輪作の有効性検証や抵抗性品種の開発が進められているようです。

今後の種苗メーカーの動きに期待しましょう!

 

 

野菜作りはタネからがおすすめ!タネの保存方法や発芽率アップのコツも解説!

こんちには、けいたろうです!

私は最近、タネから育てる野菜作りに魅力を感じ始めました。

種まきから芽吹くまでの待ち遠しい時間や、子葉の愛くるしさがたまりません!

今日は野菜の「タネ」について、タネから育てるメリットおすすめの保存方法

発芽率を上げる方法などをご紹介していきます。

 

この記事はこんな人におすすめ!
・これからタネからの野菜作り挑戦してみたい方
・タネの保存方法を知りたい方

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
・タネの保存には冷蔵庫がおすすめ!
・発芽促進のため水分管理に気を付けよう!

 

タネから栽培することのメリット

ホームセンターや種苗店に行くと、苗や種が数多く並んでいます。

「苗があるなら苗のほうが楽じゃない?」とお思いの方もいらっしゃると思いますので

まずはタネで栽培することのメリットをご紹介します。

 

メリット①:経済的である

これは一番のメリットではないでしょうか。

タネは1袋にかなりの数のタネが入っており、よほど広い畑を持っていないと、

1シーズンで使い切るのは難しいと思います。

そのためタネを翌年に持ち越して使っている方も多くいらっしゃいます。

このようなコストメリットが大きいのがタネから挑戦する野菜作りです。

 

ただ、当然苗から行う野菜作りにも魅力があります。

苗は失敗が少ない点で特に初心者の方にはおすすめの方法ですし、

実際私も苗から育てている野菜はたくさんあります。

育苗の温度管理は通常の家庭菜園レベルでは難しいため、特に夏野菜は苗から育てています。

私がこれまで栽培した野菜の中では、ホウレンソウやミズナ、サニーレタスなどの葉物は比較的簡単に育ちますので初心者の方にもおすすめのタネ栽培です!

 

メリット②:自分で栽培管理ができる

実は販売されている苗は、その育苗途中で農薬が使用されていることがほとんどです

苗の生産者も、見栄えがよく丈夫な苗を育てるためですから当然とも言えます。

完全無農薬栽培にこだわりたい人にとっては、育苗中に農薬が使われていないことが望ましいでしょう。

そんなときにはタネから自分で苗を作ることがおすすめです!

すべて自分で管理できますので、完全無農薬にこだわりたい人はタネからの栽培は必須です!

 

タネの保存方法について

先ほど、タネが余って翌シーズンまで持ち越すケースも多々あるという話をしました。

ではどのようにタネを保存しておけばよいのでしょうか。

実はこの保存方法を間違えてしまうと、翌年の発芽率が極端に落ちてしまう場合があるので、しっかりした保存方法を覚えましょう!

 

①種子の活動を抑制する

タネの周りの空気を低温、低湿条件で保存することで種子内の生化学的作用が抑えられ、さまざまな酵素の消失が抑えられるので発芽力が長く保持されます

これは人間でも同じことが言えるかもしれませんが、寒いと活動がにぶくなりますのでイメージしやすいと思います。

 

②冷蔵庫でタネを保管する

家庭で低温低湿環境を実現するのが、冷蔵庫です!

でも冷蔵庫内であればどこでも保存に向いているわけではありません。

実は野菜室は野菜の保管に特化するため湿度が60%以上で保たれるように設計されています。

タネの好適保存湿度が30%ほどと言われているので、野菜室は避けましょう

 

一方でタネの保管に適しているのは、冷蔵室と冷凍室です。

冷蔵室は湿度が30%、温度が1~5℃でタネの保管にはうってつけの環境です

冷凍室は十分に乾燥したタネを長期保存するのに適しています。

ただし冷凍保存の場合タネの中に水分が多く残存していると、種子内に氷が形成され種子を傷めます。

1~2日ほど冷蔵を経て、冷凍すると安心です。

 

③乾燥剤を使う

冷蔵庫内は湿度30%程度とタネの保管には適した環境ではあるものの、念には念を入れるのが吉です。

茶封筒などにタネの袋を入れたあと、シリカゲルなどの乾燥剤と同封して海苔の缶などに入れ、缶をテープなどで止めると安心です。

こうしておけば温度、湿度ともにタネの保管に適した環境で、より長くタネを保存することができます。

 

タネの寿命

タネの袋には有効期限と発芽率が記載されています。

有効期限が過ぎても発芽はするものの、発芽率が落ちる可能性はあるでしょう。

有効期限が過ぎても、どのくらいの期間であればタネが使えるのか一覧にしました。

 

 

一般的に長命、常命、短命の3つに分類されますが、この寿命は保管環境によって左右されるため、冷蔵庫(もしくは冷凍庫)で適切に保管するように心がけましょう!

 

発芽率を上げるコツ

冷蔵庫で保管しても発芽率は少しずつ下がっていくんですよね?

そうなんです。
でも発芽率を上げるコツがありますので、お教えしますね。

 

発芽率アップの方法①:事前吸水

タネを蒔く前にタネに水を吸わせてあげることで発芽率が上がります

野菜の種類にも依りますが、吸水させて発芽を促すことで播種後の発芽がスムーズになる傾向があるようです。

特にニンジンなど乾燥していると発芽してこないタネなどでは、水で濡らしたキッチンペーパーにタネを置き、一晩程度冷蔵庫内で吸水させてから種まきするようにしています。

また硬実種子といって、乾燥させた際に吸水しにくくなる種子については、一晩以上吸水させることが大切です。

 

硬実種子の例
・オクラ
・インゲン
・エンドウ
空心菜
・ゴーヤ

 

発芽率アップの方法②:種皮カット

これも主に硬実種子にあてはまりますが、吸水性をアップさせるためにタネの皮を一部カットする方法があります。

カッターや爪切りを使って、皮に傷をつけることで吸水促進を図ります。

 

発芽率アップの方法③:適切な水分管理

畑にタネを蒔いたあとも、土壌中の水分を切らさないことが大切です

一般に種子は発芽の三要素として、①水分、②温度、③空気(酸素)が必要と言われており、特に吸水が種子が芽吹くために最も重要な要素と言えます

ただし、土中の水分過多はタネの酸素不足につながりかねず、過度な水やりは厳禁です。

水のやりすぎには十分注意して発芽を見守りましょう。

 

発芽率アップの方法④:植物活力剤を使用する

植物の発根、発芽を促す効果のある成分を含む栄養剤を使う方法もあります。

家庭菜園界隈ではメネデールという商品が有名ですが、二価鉄イオンを含む活力剤のようです。

鉄イオンは植物の生長に必要な養分の一つです。

私自身はこの方法は試したことがありません。

私が理系出身ということもあり、自身で試してみないとあまりおすすめができない性格ですが、いずれ効果確認の実験もしてみたいと思います。

 

タネに関する豆知識

せっかくですので、種子についてもう少し詳しく勉強しました。

植物の種子には、発芽するために養分が豊富に蓄えられています。

皆さんが普段捨てている野菜のタネにはすごく栄養が含まれていますので、捨てるのはもったいないです。

でも逆に食べてはいけないタネもありますので、ご注意を。

ピーマンのタネ・ワタ

多くの人が捨てていると思われるのが、ピーマンのタネと白いワタです。

この部分は実は、ピーマンの緑色の部分よりも体によいとされており、捨てるのはもったいないです。

タネには塩分排出に効果のあるカリウムが豊富に含まれていますし、ワタには血行促進に効果のあるピラジンが含まれています。

 

カボチャのタネ

カボチャのタネにはカリウムやカルシウムが多く含まれるだけでなく、オメガ3脂肪酸や食物繊維も豊富といった健康メリットが多くあります。

コレステロール値を下げる効果をもつオメガ3脂肪酸は高血圧の方にはもちろんおすすめですし、免疫アップなども効果も期待できるのだとか。

タネをフライパンで煎り、中身を食べてくださいね。

 

モロヘイヤのタネ(毒タネ)

モロヘイヤの種子には毒性の強い強心配糖体「ストロファンチジン」が含まれています。

モロヘイヤの茎や種子を少量でも食べるとめまいや嘔吐などの中毒症状を引き起こすので絶対食べないでください!!

特に成熟した種子に最も多く有害物質が含まれています。

家庭菜園でモロヘイヤを栽培される方はご注意を。

 

まとめ

今回は野菜のタネについて、タネの保存方法や種まき時のコツなどをご紹介しました。

私もメネデールなど、活力剤の効果の有無については大変興味がありますので、

いつか実験してみたいと思います。

皆さんもうまく苗とタネを使い分けて、楽しい家庭菜園ライフをお送りください!

それでは次の記事でお会いしましょう。

 

狭い畑でも連作はできる!?連作障害の対策4つを解説【応用編】

こんにちは、けいたろうです。

今回は基本的な連作対策はもうすでにしたものの、さらなる対策をして連作対策をさらに強化したい!という方向けに連作障害対策の【応用編】について紹介したいと思います。

基礎対策から実施してほしいので、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。

 

 

この記事はこんな人におすすめ!
・連作障害が不安で対策を強化したい人
・畑が狭く連作になりがちな人

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
農薬に頼らなくても、有用な天然資材で連作障害に強い畑を作ることができる!

 

連作障害の対策を4つご紹介

対策①:もみ殻くん炭をすきこむ

もみ殻くん炭を土にすきこむと、野菜と共生する菌根菌の住処(すみか)となります。

菌根菌は野菜の根と共生している菌で、野菜から光合成で得た糖などをもらう代わりに、野菜が根だけでは集めにくい肥料成分やミネラル、アミノ酸等を野菜に提供しています

菌根菌はさらに野菜の抵抗性を高め、病気に強い野菜にする効果も期待できます

 

菌根菌の住処になること以外にも、もみ殻くん炭は土の物理性(水はけ、通気性等)の改善にも効果がありますので、病害虫の予防にも効果的です。

 

対策②:米ぬかをすきこむ

連作障害の代表、センチュウ被害に効果的な方法です。

この方法は米ぬかを餌とする無害なセンチュウ(自活線虫)を増やし、悪玉線虫を抑制することを目的としています。

自活線虫は老廃物として尿酸を排出し、この尿酸はすぐにアンモニアへ変化します。

実は悪玉線虫はこのアンモニアに弱く、自活線虫が増殖することで土中のアンモニア濃度が上がり、悪玉線虫を抑制することができるのです。

 

米ぬかのすきこみは春から秋の比較的暖かい気候が適しており、米ぬかをまいてから1か月以上経てば、問題なく次の野菜づくりに取り掛かることができます。

米ぬかをすきこむ際は、1m²に400g~2kg程度を目安にします。

 

対策③:カニ殻をよくすきこむ

トマトなどの連作で発生すやすい萎凋病(いちょうびょう)は萎凋病菌が引き起こしています。

萎凋病菌は地中で長く生き続ける厄介な病原菌ですが、カニを土にすきこむことで

効果的に予防することができます。

萎凋病菌の表面は甲殻類の殻と同じ成分であるキチン質という固い物質で覆われていますが、実はこのキチン質を餌とするのが放線菌と呼ばれる菌です。

この放線菌を増やしてあげることで、効果的に萎凋病を防ぎましょう。

そのためには土には放線菌の餌であるキチン質たっぷりのカニ殻を1m²あたり200~400g程度すきこみます。

ナスの半身萎凋病やイチゴの萎黄(いおう)病、キュウリやスイカのつる割病、ホウレンソウの萎凋病にも同様の効果が期待できます

 

対策④:アブラナ科の野菜残渣をすきこむ

ワサビやカラシナに代表されるようなアブラナ科の野菜は独特の辛味やツンと刺激する香りがあります。

この成分はイソチオシアネートという揮発性物質で、土中の殺菌・殺虫効果が期待できます。

このようにアブラナ科の野菜を土にすきこみ、分解過程で生成する成分によって土壌中の微生物やセンチュウ、雑草の生育を抑制することをバイオフューミゲーション(生物的燻蒸)といいます。

 

カラシナ、ダイコン、シロカラシなどがよくこの方法に利用されるようですが、他にもブロッコリー、キャベツなどはすきこめる量が多いというメリットがあります。

またアブラナ科の他にもエンバクなども新しい燻蒸植物として研究されているそうです。

 

新常識!?残渣のすきこみで連作障害対策

これまでの家庭菜園では、野菜残渣(ざんさ)は畑から持ち出して処分するのが常識でした。

しかし連作障害対策の観点から、必ずしも残渣は持ち出さなくてもよいという考えが定着しつつあります。

残渣を土にすきこむことで土中の分解微生物が増え、病気に強い土づくりに一役買います。

土にすきこむ際は20cm程度にカットし、よく乾燥させてからすきこむのが一般的です。

 

 

ただし、病気になった株の残渣を乾燥させてすきこむのはNGです。

病気にかかった株をワクチン接種と同じようにあえて土にすきこむ場合は、必ず乾燥させずに土にすきこむのがよいそうです。

生のまますきこむことで、その病原菌を餌をする菌が増えますので、次作以降の病気の発生が抑える効果が期待できます。

ただしウイルスが原因の病気の場合は、すきこんでも効果が期待できませんので畑から持ち出すのがよいです

 

まとめ

今回ご紹介した方法は、ホームセンターで比較的簡単に入手できる資材を使ったり、

中にはそのまま土に還したりすることで連作を未然に抑制する方法をご紹介しました。

これまで試したことがなかった資材についても、これを機に試してみてはいかがでしょうか。

今回の記事はこちらの本を読んだ内容をまとめております。

 

 

詳しいことをもっと知りたい方は参考にされてください。

それでは次の記事でお会いしましょう!

 

狭い畑でも連作はできる!?連作障害の基本対策3つを解説【基礎編】

 

こんにちは、けいたろうです。

皆さんが一度は聞いたことがあるであろう、連作障害

私は限られたスペースしかない貸農園で家庭菜園をしていますので、気を付けていても連作せざるをえないことが多々あります。

今回は私のように連作を避けたいけれど、避けられない方に向けて連作障害の原因や連作障害が出にくくなる基本的な対策を解説したいと思います。

 

この記事はこんな人におすすめ!
・連作障害について詳しくなりたい人
・連作障害の対策を知りたい人
・狭い畑で連作せざるをえない人

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
連作をするなら、3つの基礎的な対策を押さえよう!

 

 

そもそも連作とは

まずは連作とは何か、今一度定義を確認しておきましょう。

連作とは、同じ時期同じ場所同じ科の野菜を育てることを指します。

ここで気を付けるべきは、違い野菜であっても「同じ科」であれば広義では連作となることです。

私の場合は夏はナス科、秋冬はアブラナ科を育てることが多く、狭い畑において連作は

避けては通れない道です。

 

連作障害とは

連作障害は、連作によって野菜の生育が悪くなることを指します。

土壌中の病原菌センチュウによる被害のほか、根から分泌される生育阻害物質の蓄積によっても生育不良が生じます。

各科の代表的な連作障害をご紹介します。

以下の症状が出たら、一度連作障害を疑ってみましょう。

 

①ナス科の半身萎凋病

②ナス科、ウリ科の青枯病

アブラナ科の根こぶ病、萎黄病

④ウリ科のつる割病

⑤ネギ科の黒腐菌核病

⑥ジャガイモのそうか病

 

連作障害の原因

連作がどうして野菜の生育に悪影響を及ぼすのでしょうか。

これには大きく分けて3つの原因があります。

 

1、病原菌が増えていく

土の中には無数の微生物が暮らしていますが、その中のごく一部には病気を引き起こす病原菌も存在します。

病原菌は種類ごとに好みの野菜(科)があり、毎年同じ場所で同じ科も野菜を育てていると、特定の病原菌ばかりが増えていきます。

病原菌は土中の残渣や土中で生き残り、また翌年に同じ科の野菜を育てた際に、

病気にかかりやすくなってしまいます。

 

2、悪玉線虫がふえていく

線虫というのは土中に暮らしている目に見えないくらい小さな糸状の生物です。

線虫のほとんどは有機物等を摂取して生活していますが、一部に野菜の根に寄生する悪玉線虫と呼ばれる種類の線虫がいます。

悪玉線虫とは、ネコブセンチュウネグサレセンチュウシストセンチュウなどです。

とりわけネコブセンチュウは多くの野菜に被害を与えるため非常に厄介です。

これらの線虫は野菜の根に寄生するなどして、植物を枯らす場合があります。

 

3、生育阻害物質が蓄積していく

根は養分や水分を吸い上げる大切な役割を担っています。

そのため根を守るための防衛物質を分泌する植物も存在しています。

たとえばエンドウは根から生育阻害物質(アレロパシーを分泌しており、

この周囲に雑草が生えにくくしています。

このような物質は土中に蓄積されていくので、例えばエンドウを連作すると、その土中にはどんどん生育阻害物質が蓄積してしまい、野菜を育てた際にうまく育たなくなります。

アレロパシーを分泌する植物は他にアスパラや、コンパニオンプランツとしても有名なマリーゴールドなどがあります。

 

連作をするための基礎対策

①畑の土の立体構造をつくる

連作障害の主な原因である病害から植物を守るためには、植物が健全に育ち、自衛能力の高い野菜を育てることが大切です。

そのためには根はりは非常に重要なポイントとなり、この根はりに影響するのが土の構造です。

下の図のように下層、中層、上層に分けて土の大きさの異なる3層を作ると水はけがよく、かつ水持ちのちょうどよい物理的構造になります。

 


②残渣の分解を促進する

連作をする際には必ずやったほうがいい対策です

連作を引き起こす病原菌は地中の残渣に潜んでいます。

病原菌の住処(残渣)をなくすことで、病原菌を減らす連作障害を防ぐ基本的な対策になります。

そのためには微生物の力を借りて、残渣の分解を促進する必要があります。

また、微生物の中には好気性発酵をするものが多くいますので、酸素を供給するために土を耕す作業も重要となります。

分解を促進するためには具体的に以下の方法が考えられます。

 

・堆肥をまき、植え付けまでに2回耕す

・微生物資材をすきこむ

 

微生物のはたらきについてはこちらをご参照ください。

微生物資材は手作りすることもできます。

手作り微生物資材「えひめAI」についてはこちらをご参照ください。

 

③病気に強い品種を選ぶ

品種改良が盛んにおこなわれている今、毎年のように種苗メーカーから様々な品種が開発されています。

この品種選びは連作対策として基本中の基本となります

昨年の栽培状況等を慎重に考慮して下記の2種類の苗や種を選ぶとよいでしょう。

特定の病気にかかりにくい「抵抗性品種」

病気にかかっても重症化しにくい「耐病性品種」

 

余談:実は連作障害は連作が解決する!?

実は連作は3~4年程度の短期的スパン(3年ほど)で見たときには野菜にとって悪影響がありますが、中期的(4年目以降)にみると生育が安定してくることがわかっています。

これには畑の微生物環境が大きく関わっています。

連作をすることで、畑にその野菜の栽培に適した善玉微生物が増え始め、

病原菌の温床となる残渣の分解も年々早まっていきます。

残渣が分解されればそれは養分として次の野菜の養分として使われ、いい連鎖が続いていきます。

途中、連作障害に苦しむことになりますが長期的に見れば少々の不作は耐えられる・・・かもしれません。

 

まとめ

今回は狭い畑で輪作ができないような方向けに、連作栽培をする際の基本的な対策3選をご紹介しました。

実は連作障害は今回ご紹介した3選を実施したうえで、できればさらに対策を打ちたい厄介な症状です。

現在連作障害の対策【応用編】の準備をしておりますので、ご紹介できる日をお待ちください。

 

それでは次の記事で会いましょう!

【魔法の液体】実は簡単!?えひめAIの作り方や使い方を解説!!

こんにちはけいたろうです。

突然ですが「えひめAI」って聞いたことありますか?

私はなんとなく聞いたことがあった程度で、その効果や使いかたは全然

知りませんでした。

今回、実際にえひめAIを実際に作ってみたので作り方やその効果を含めて

ご紹介したいと思います。

 

この記事はこんな人におすすめ!
・えひめAIについて詳しく知りたい人
・えひめAの作り方を詳しく知りたい人

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
えひめAは簡単に作れて、液肥や病害対策など様々な用途で使用できる万能資材!

 

 

えひめAIについて知ろう

誕生秘話

はえひめAIと言っても、「えひめAI-1」と「えひめAI-2」の2種類が存在しています。

えひめAI-1は愛媛県産業技術研究所(旧愛媛県工業秘術センター)で開発された

産業向けの環境浄化微生物です。

一方えひめAI-2はえひめAI-1を家庭向けに改良したものとなっています。

えひめAI-1の開発が始められたのは海や川の汚染防止など、環境改善の側面が強かったようです。

えひめAIという名前は、この資材の生みの親、曽我部義明さんが環境童話「地球の秘密」の作者で1991年に12歳で亡くなった坪田愛華さんの思いに共感し、この名を名付けたと言われています。

 

えひめAIの使用例

えひめAIは農業分野のみならず、様々な用途で利用されています。

先ほどご紹介した水質改善の他にも以下のような効果があります。

 

①浄化槽での水質、悪臭改善効果

②換気扇、水垢、ぬめり等汚れ落とし効果

生ごみ、ペットの臭い等への消臭効果

④洗濯物、洗濯槽の汚れ落とし効果

⑤植物の生育促進、病害予防効果

 

えひめAIの効果発現のメカニズム

いったいどうしてえひめAIは水質改善、汚れ落とし、消臭効果を発揮するのでしょうか。

これにはえひめAI中に含まれる、多量の微生物群に秘密があります。

えひめAI中に含まれる納豆菌、乳酸菌、酵母菌はぼかし肥料でも大活躍する菌類です。

これらの菌は有機物の分解が得意なうえに酵素等を産出するため、汚れに含まれる汚れ物質の分解を促進し、水質の改善に一役買っているものと考えられます。

 

また、消臭効果はえひめAIの液性が関係していると言われています。

えひめAIのpHは3~4程度の酸性であり、アルカリ性アンモニアやアミン系の臭気物質を中和することで効果が発現していると言われています。

 

農業分野におけるえひめAIの効果

えひめAIがすごい資材であることがよくわかったところで、農業分野ではどのような使い方ができるのか、詳しく解説していきます。

農業分野におけるえひめAIは以下の効果が期待できます。

 

液肥

②病害の防除

③発酵促進剤

 

液肥として使う

えひめAIには液体肥料としての効果があります。

えひめAIに含まれるアミノ酸などには肥料効果が期待できますし、有機は根はりをよくする効果が期待できます。

また、えひめAIに含まれる微生物が土壌中の有機物を分解することで、肥料分が新たに生み出されます。

土壌に使用する場合は500倍~1000倍希釈が推奨されています。

 

病害予防として使う

えひめAIには納豆菌、乳酸菌、酵母菌などの微生物の他、

それらが作り出す酵素アミノ酸有機酸、ホルモン物質などがたくさん入っています。

これらがはたらくことで、病害の防除に役立っていると言われています。

 

また、えひめAIを予防的に葉面散布することで葉に納豆菌などが先に住み着き、

あとからくるうどんこ病等の菌が住み着けないような効果も期待できます。

さらに植物は菌の出す物質を感知すると細胞を強くするはたらきがあり、

植物に害のない納豆菌、乳酸菌、酵母菌などを散布することで、

植物の自衛能力を向上させる効果も期待できそうです。

葉面散布は1000倍希釈が推奨されています。

 

発酵促進剤として使う

これはEM資材と同様の使い方になります。

えひめAIの中には、発酵に深くかかわる納豆菌、乳酸菌、酵母菌が

多量に含まれています。

そのためぼかし肥料や、堆肥の発酵促進に力を発揮します

使用する場合は10倍希釈での使用を推奨されているようです。

 

微生物と発酵の復習として、以下の記事が参考になります。

rikeinokateisaien.hatenablog.com

 

えひめAI-2の作り方

では実際にえひめAIの作り方を紹介していきます。

家庭でも簡単に作ることができますので、皆さんもぜひ試してみてください!

 

500mlのペットボトルで作る場合の必要なもの

・砂糖15g

ドライイースト5g

・ヨーグルト25g(飲むヨーグルト乳酸菌飲料でも代用可)

・納豆数粒

・お湯250ml(40℃前後がいい)

 

 

実は作り方の手順はものすごく簡単です。

 

①砂糖、ドライイースト、ヨーグルト、納豆、お湯をミキサーに入れてよく混ぜ合わせる

 

 

②混ぜ合わせたらペットボトルに注ぎ入れ、40℃くらいに保温する(※)

 保温用ペットボトルホルダーや、ワークマンで販売されている真空ペットボトルホルダーなんかがあれば、温度制御付きの機械を使わなくてもなんとかなりそうです。

今回はどちらも準備できなかったので、お湯を張った容器にペットボトルを入れ、

さらにぷちぷちで覆ったり、晴れた日に車の中で放置したりして温度管理しました。

 

 

③24時間放置(※)し、なめて酸っぱくなっていたら完成です



 なめたくない場合は、においで判断しましょう。パンやお酒のような発酵臭がすれば

 OKです。 水道水を足して、500mlにしましょう。

※1週間放置する方法もあるようです。

今回私は24時間ずっと保温することができなかったので、1週間放置しました。

発酵時はガスが発生しますので、フタは緩く閉めましょう。

 

 

さいごに

今回はえひめAIの効果や作り方を解説しました。

私はこのえひめAIを霧吹きで葉に吹きかけたり、液肥のように使ったりすることで

おいしい野菜を作っていきたいと思います。

皆さんもぜひ、えひめAIを作ってみてはいかがでしょうか。

それでは次の記事でお会いしましょう!

 

【道法スタイル】垂直仕立て栽培で収量・食味が向上!!その原理とは?

こんにちは、けいたろうです。

突然ですが皆さんは垂直仕立て栽培って聞いたことがありますか?

私は最近知ったのですが、近頃注目されている新しい栽培方法のようです。

今回は道法正徳さん著”野菜の垂直仕立て栽培”を読みましたが、これまでの常識からは想像もできないような栽培法が紹介されています。

 

今回はこの謎に包まれた「垂直仕立て栽培」の考え方や原理について、ご紹介したいと思います。

 

この記事はこんな人におすすめ!
・垂直仕立て栽培について詳しく知りたい人
・新しい栽培方法に興味がある人
・おいしい野菜づくりをしたい人
・無農薬で病害虫被害を防ぎたい人

 

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
垂直仕立て栽培は植物が本来持つホルモンの力を最大限生かした斬新な栽培法
垂直仕立て栽培では無肥料で形・食味の向上が期待できる

 

垂直仕立て栽培とは

まずは垂直栽培の基本的な考え方についてご紹介します。

垂直仕立て栽培とは、文字通り野菜の枝や葉をすべて垂直方向に誘引する栽培法です。

この栽培法では、植物が本来持つホルモンのはたらきを最大限に生かすことにより

収量や食味の向上が期待できるのです。

この記事を読み終えたあなたも、半信半疑ながら「垂直仕立て栽培」に挑戦したくなっていることでしょう。

 

垂直仕立て栽培のキーワード

垂直仕立て栽培で重要な言葉の説明を少ししてから、本題に入ります。

 

①植物ホルモン

②無施肥

③不耕起

 

キーワード①:植物ホルモン

私も植物学者ではないので、詳しい話はできませんが今回垂直に仕立てることで

活発に活躍する4つの植物ホルモンについて簡単に解説します。

 

オーキシン

発根を促す植物ホルモンで、主に新芽付近でつくられます。

新芽付近で作られたオーキシンは垂直方向に下降し、

根の先端に届けられることで新しい根が次々に形成されます。

またオーキシン結実性を高めたりや細胞を伸長させたり植物の生長全体に作用しており、

オーキシンを化学合成したものは「トマトトーン」として広くトマト栽培等に使われています。

 

サイトカイニン

細胞分裂を促す植物ホルモンで、根の先端部分でつくられます。

根の先端でつくられたサイトカイニンは導管を通って地上部へ運ばれます。

細胞分裂を促すということは、植物の代謝が活発になるということです。

そのため、①着花量が増える、②傷口の修復がよくなる、等の効果が期待できます。

別名「若返りホルモン」ともいわれます。

 

エチレン

果実の熟期を促す植物ホルモンで、細根でつくられます。

よく「リンゴと一緒に保存すると野菜が傷みやすくなる」という話を聞くのは

リンゴからエチレンが発せられるため、周りの野菜たちが熟されているわけですね。

エチレンは植物の体の中では、酸化エチレンとなり病気や害虫を防ぐ役割も果たしています。

実はこの酸化エチレンは、非常に攻撃性の高い分子であり殺菌力があります。

この酸化エチレンは医療機器等の滅菌に使用されるほどです。

 

ジベレリン

枝や葉の成長を促す植物ホルモンで、細根でつくられます。

ジベレリンにはわき芽を増やす効果がある一方で、着花を阻害し熟期を遅らせる

はたらきもあります。

実はジベレリンは窒素過多の状態になると植物体内で増えるホルモンであり、

窒素過多の時に見られる症状はジベレリンが引き起こす症状といっても過言ではありません。

 

ちなみに窒素過多の際にはエチレンの分泌が低下することも知られており、

窒素過多の植物にアブラムシ等が集まりやすいのはホルモンバランスの乱れが

原因のようです。

さらに余談ですがジベレニンは種無しぶどうを作る際に使用される植物成長調整剤(農薬)でもあります。

 

 

キーワード②:無施肥

垂直仕立て栽培では肥料、堆肥を一切必要としません。

むしろ肥料や堆肥を施した状態で垂直仕立て栽培にトライすると

失敗するケースが多々あるようです。

これは、先ほどの植物ホルモンのバランスが崩れることが原因です。

垂直仕立て栽培では、植物が元来持っているホルモンのはたらきと

光合成」で作られるエネルギーだけで十分成長できるのです。

 

キーワード③:不耕起

基本的に一度作った畝は、形を整えながら何回も再利用するのが垂直仕立て栽培の基本です。

まったく耕さないわけではないのですが、中耕したり土寄せしたりする程度で問題ないようです。

土壌微生物がつくりだした構造を耕運機で壊さないようにするのがこの栽培のコンセプトです。

 

垂直仕立て栽培のここが斬新!!

私が思う、垂直仕立て栽培の斬新(素直に受け入れずらい)ポイント4選です。

 

①枝や葉もすべて垂直に仕立てる

②肥料や堆肥は入れてはダメ

③わき芽を摘んではダメ

④畑には石を積極的に入れる

 

斬新ポイント①:枝や葉もすべて垂直に仕立てる

これが一番重要なポイントです。

生長点付近でつくられるオーキシンは発根や細胞の伸長を促します。

生長点でつくられたオーキシンは下方に向かっていきますが、茎などが

垂直に仕立てられているとスムーズに根まで運ばれ、途中でオーキシン

浪費されにくくなるそうです。

 

オーキシンが最大限に根まで運ばれれば、発根作用が働き、さらに根でつくられる

サイトカイニン、エチレン、ジベレリンの生成も活発になります。

この植物ホルモン生成の好循環を回していくことが、植物の生育をよくすることにつながります。

このトリガーとなるのは「垂直に仕立てる」ことなのです。

 

斬新ポイント②:肥料や堆肥は入れてはダメ

垂直仕立て栽培で肥料等を用いるとジベレリンのはたらきが促進され、葉や枝ばかりが伸びます(ツルボケ)。

畑に肥料分が残っている場合2年、3年と続けていくうちに畑の余分な肥料分が抜け、

垂直仕立て栽培に適した土壌へと変化していくようです。

 

斬新ポイント③:わき芽を摘んではダメ

植物ホルモンの好循環の起点となる、オーキシンは生長点でつくられます。

そのため、わき芽のような生長点は摘まないようにしましょう。

 

斬新ポイント④:畑には石を積極的に入れる

いまだに半信半疑なのですが、植物の根は石とぶつかると細根が増えるため

根でつくられる植物ホルモンが活性化するそうです。

これが植物の生育にプラスに働くことで植物の生育がよくなるのだとか。

著者によると、石は「おたから」なので、取り除かずにむしろ積極的に

土に混ぜることを推奨しています

ちなみに著者は、石が作土の4割を占めるくらいを理想とされています。

 

垂直仕立て栽培のメリット

では次に垂直仕立て栽培のメリットについて紹介していきます。

 

①生育がよくなり収穫量が増える

②野菜の味がよくなり栄養価も高くなる

③病害虫に強く、天候不良の影響も受けにくくなる

④土づくりの必要がなくなる

 

メリット①:生育がよくなり収穫量が増える

植物がもつホルモンが通常よりもはたらきやすい環境であるため、

野菜が元気に育つことができます。

根の張りがよくなることで、わずかな土中の養分も吸い上げることができますし

結実にかかわるオーキシンのはたらきも活発になるため、収穫量も増えます。

 

メリット②:野菜の味がよくなり栄養価も高くなる

通常の栽培に比べホルモンのはたらきがバランスよく活性化することにより、

野菜の糖度向上などが期待できるそうです。

 

メリット③:病害虫に強くなる

植物自体が元気に育つため自衛能力が上がります。

もう少し言うと、病害虫を忌避するエチレンがはたらきやすくなるため、

病害虫の被害が劇的に減ります。

 

メリット④:土づくりの必要がなくなる

これまで土に入れていた肥料、堆肥を土に入れて耕すという行為が

ほとんど必要なくなります。

そのため、経済的でもありますし労力の削減にもつながります。

 

垂直仕立て栽培のデメリット

では次に垂直仕立て栽培のデメリットについて紹介していきます。

 

①肥沃な土壌では失敗するリスクがある

②垂直に誘引するため、背の高い支柱が必要になる

③高所の作業が増えるため、注意が必要

④こまめな誘引が必須

⑤支柱の数が多く必要となる

 

デメリット①:肥沃な土壌では失敗するリスクがある

肥沃な土壌で垂直仕立て栽培を行うと、肥料がたくさんある状態で植物ホルモンの

はたらきも加わるため、植物ホルモンのバランスが崩れます。

これによりうまく結実しなかったり、病害虫にやられてしまったりと失敗する

リスクが高まってしまいます。

繰り返しますが、垂直仕立て栽培の基本は「無施肥」です。

 

デメリット②:垂直に誘引するため、背の高い支柱が必要になる

通常の栽培では誘引をしない作物(サツマイモ、カボチャ等)でも垂直に誘引するため

特にツル性の作物では、背の高い支柱が必須です。

雨風の中でも支えられるように高さ2m以上、太さ20mm程度の丈夫なものを

用意する必要があります。

 

デメリット③:高所の作業が増えるため、注意が必要

垂直仕立て栽培では垂直方向にぐんぐん背が伸びるため、誘引作業が

次第にやりづらくなります。

炎天下の中、ふらっとしたはずみに踏み台から落ちる、といったリスクもはらんでいますので注意が必要です。

 

デメリット④:こまめな誘引が必須

垂直に誘引することで、植物ホルモンのバランスを保っていることから

この誘引をさぼるとホルモンバランスが崩れやすくなります。

少し手間ですが、こまめに誘引する必要があります。

 

デメリット⑤:支柱の数が多く必要となる

この栽培をする場合、通常栽培では誘引をしない葉物野菜等も誘引することになりますので

支柱や、紐といった資材が余分に必要になります。

どうしてもこの初期投資は必要になってきます。

 

私の考え

この本を読んだ私の考えとしては、少しずつ垂直仕立て栽培を試しながら

その実力や効果を確かめていきたいという結論になりました。

実際に取り組んだ際には、また記事にしますのでお楽しみに!

 

さいごに

今回は道法流・垂直仕立て栽培についてご紹介しました。

重要なポイントをまとめると以下の通りです。

・どんな野菜でも支柱に垂直に誘引する

・肥料、堆肥は施肥しない

・わき芽も摘まない

・肥料の代わりに石を入れる

 

このほかにも、著者は無施肥の土壌環境になじみやすいように自家採種

薦めています。

注意ポイントや、各野菜ごとの注意点や詳しい誘引方法はここでは

紹介しきれないので、ぜひ今回私が参考にした本をチェックしてみてください!

私が実際にサツマイモで垂直栽培を実践してみましたので、こちらの記事も参考にしてみてください。

 

rikeinokateisaien.hatenablog.com

 

 

それでは次の記事で会いましょう!

 

コンパニオンプランツとバンカープランツの違いって何?

こんにちは、けいたろうです!

突然ですが皆さん、コンパニオンプランツって聞いたことありますか?

コンパニオンプランツは近頃積極的に実践されている方も多く、聞いたことがある人が多数かと思います。

では、伺います。

バンカープランツって聞いたことがありますか?

これを知っている方はなかなかの情報通ですね。

今回は、植物を病害虫から守るコンパニオンプランツ、バンカープランツの違いについて詳しく解説していこうと思います。

 

 

この記事はこんな人におすすめ!
コンパニオンプランツについて詳しく知りたい方
・バンカープランツについて詳しく知りたい方

 

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
コンパニオンプランツ:一緒に植えると互いによい影響を与える植物
バンカープランツ:害虫の天敵を呼び寄せるための植物

 

 

コンパニオンプランツ

コンパニオン(Companion)は、「仲間」「連れ」といった意味の言葉です。

コンパニオンプランツはその名の通り、一緒に植えることで仲間になる(助け合う)

植物の関係性を言います。

ここで言う、助け合うとは病害虫を防いだり成長を助けたりすることを指します。

栃木県では、「ユウガオ」と「長ネギ」を混植すると病害が起きにくくなるという

言い伝えがありました。

また中国の農書にも「ウリ科」にネギを混植すると病害にならない、といった記載があるようです。

実はこのように、コンパニオンプランツについては科学的に証明される

300年以上も前から経験則に基づいて語り継がれてきた、伝統的な栽培方法なのです。

 

コンパニオンプランツが病害を防ぐメカニズム

病害を防ぐコンパニオンプランツとしてはネギが有名です。

ネギの根には拮抗細菌が生息しており、抗菌物質を産出します。

この抗菌物質には土壌病原菌による連作障害を防ぐ効果があり、

さらにネギ属はアリシンという成分も産出するため、病原菌の抑制効果が期待できます。

 

このような効果は他のネギ属(ニンニク、ニラ、チャイブ)でも同様に期待できます。

ネギの他にも病害を防ぐコンパニオンプランツはありますが、根から発せられる成分が

病原菌を抑制するメカニズムが大半です。

 

コンパニオンプランツが害虫を忌避するメカニズム

害虫を忌避するコンパニオンプランツの例として、バジルやシソなど香りが強い

「シソ科」が挙げられます。

シソ科が放つ独特の香り成分はアブラムシ等の害虫を忌避する効果があり、

トマトやピーマンなどのナス科の植物と植えられることが多いです。

 

コンパニオンプランツが成長を助けるメカニズム

成長を助け合うコンパニオンプランツとしてはマメ科の植物が有名です。

マメ科の植物の根には、根粒菌が共生しています。

 

根粒菌・・・空気中の窒素をアンモニア化合物に変換して植物に供給する。

       植物はこの働きを助ける物質が提供される。

 

根粒菌のはたらきによりマメ科の根周辺にはチッソ分が多くなります。

これが周辺作物の成長を促すため、マメ科コンパニオンプランツとなりうるのです。

 

コンパニオンプランツのおすすめ組み合わせ

以下にコンパニオンプランツとしておすすめの野菜の組み合わせを

ご紹介します。

あくまでも一例であり、下記表以外の植物だとマリーゴールド等も

センチュウ対策のコンパニオンプランツとして有名です。

また、科学的に効果が証明されているコンパニオンプランツの組み合わせは

限られており、経験則から実践されているものも少なくありません。

 

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バンカープランツ

バンカー(Banker)とは、元来「銀行家」といった意味があります。

転じて害虫の天敵を育み、蓄える植物のことをバンカープランツと呼ぶように

なったと言われています。

バンカープランツはコンパニオンプランツとは植える目的が異なります。

コンパニオンプランツは、植物同士が互いにいい影響を及ぼし合う関係であったのに対し、

バンカープランツは害虫の天敵が生息する植物を指し、この天敵が害虫被害を防ぐというものです。

 

バンカープランツが害虫を抑制するメカニズム

基本的な考え方を詳しく記載します。

①忌避したい害虫を絞り込む(これを害虫Aとする)

②害虫の天敵(害虫Aを捕食する昆虫)を知る

③バンカープランツとして、害虫Bが発生するものを選定する

④害虫Bを捕食するために、天敵が呼び寄せられる

⑤天敵は害虫Aも捕食するので、作物を害虫Aから守ることができる

 

ここで大切なのは害虫A、Bを両方とも捕食する天敵を呼び寄せることです。

また害虫Aはバンカープランツに誘引されてはいけないし、害虫Bも本来守りたい

作物に誘引されてはいけません。

天敵を呼び寄せているのか害虫を呼び寄せているのかわからなくなってしまいますので・・・。

 

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バンカープランツとして知られる植物

バンカープランツとして利用できる植物や、住みつく天敵について紹介します。

花が咲く植物は花の蜜で天敵を誘引します。

また、背の高いソルゴーやエンバクなどはクモ類、クサカゲロウ、カマキリなどの格好の住処となります。

これらの植物を畑に植えると、天敵の誘引効果が期待できます。

 

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さいごに

今回は、コンパニオンプランツとバンカープランツの違いについて解説しました。

簡単にまとめますと、以下の通りです。

 

コンパニオンプランツはお互いにいい影響を与え合う植物

・天敵を呼び寄せ、住まわせる植物

 

皆さんもぜひ、積極的にコンパニオンプランツ、バンカープランツを利用して

無農薬でも生育のよい栽培を楽しみましょう!

それではまた次の記事でお会いしましょう。