理系と学ぶ家庭菜園術

理系なりの解釈で野菜づくりを学んでいきます

【実録】サツマイモの垂直栽培と通常栽培を比較してみた!!

こんにちは、けいたろうです!

以前垂直栽培に関する紹介をしました。これまでの常識を打ち破るような斬新な仕立て方をするため、垂直栽培について懐疑的な方も多いのではないかと思い、実際にサツマイモの垂直栽培の結果を皆さんに共有します。

 

この記事はこんな人におすすめ!
・垂直栽培に挑戦してみたい方
・サツマイモ栽培に挑戦してみたい方
・家庭菜園をとことん楽しみたい方

 

この記事の結論
垂直栽培のサツマイモは収量、大きさともに通常栽培より優れていた!・・・でもちょっと手間がかかります。

 

今回の検証内容

今回私が栽培したのは紅はるかです。スーパーで購入したサツマイモから苗を自分で作り、それらを斜め植えで育てました。

斜め植えにした苗の一部を垂直仕立てにして、通常栽培と収量を比較しました。(この記事内で通常栽培とは、一般的な露地での栽培方法のことを指します。)

できるだけ栽培条件が同じになるように、畝の中に垂直栽培のものとそうでないものを混在させてみました。

 

 

栽培中の管理

施肥について(通常栽培&垂直栽培共通)

サツマイモは基本的に無施肥で育てられます。私はじゃがいもの後作でサツマイモを栽培しました。じゃがいも栽培で、追肥等十分に行っていたため元肥追肥は一切せずに、サツマイモを栽培しました。

一般的には連作障害等を防ぐために根物(根菜)→実物(実野菜)→葉物(葉野菜)のローテーションで輪作していくのがベターなのですが、今回はしょうがなく根菜を続けて栽培しました(厳密に言うと芋は”根”ではないのですが、ここでは土の中から収穫するという広い解釈で根菜とします)。

 

水やり(通常栽培&垂直栽培共通)

水に関しては、苗の定植初期以外は完全に放置して成り行きで育てました。

 

病害虫管理(通常栽培&垂直栽培共通)

病害虫対策は一切何も行わず、無農薬で栽培しました。

 

ツルの管理

通常栽培

サツマイモはツルが繁茂し、放置していると畝間の土が露出している場所までツルを伸ばして、不定根を出します。これを土からはがす作業をツル返しと言いますが、気づいたときにはツル返しを行っていました。

 

垂直栽培

垂直栽培ではツルをすべて支柱に括り付けます。ツルが伸びたら適宜、麻紐を使って上へ上へと誘引していきました。地面にツルが這わないため、ツル返しは不要です。

 

結果

栽培は6月末から10月末までの約4か月間です。結論は冒頭でも記載した通り、垂直栽培のほうが全体的に優れていました。下の写真は隣あった垂直栽培と通常栽培の比較です。写真はあくまで一例ですが、垂直栽培は全体的に大きな芋が多いと感じ、噂に違わぬ結果をもたらしてくれました。

 

 

考察

どうして垂直栽培のほうが大きくなったか

では、どうして垂直栽培のほうがより大きく、収量が多い結果となったか考えてみます。やはりこれは垂直栽培の根本的な原理が影響していると思われます。垂直栽培は植物が本来もつホルモンの力を最大限に生かす栽培法として近年注目を浴びつつあります。オーキシン、サイトカイニン、ジベレリンなどの植物ホルモンたちが効率的に働きやすくなり、植物本来がもつ自己防衛能力や成長力を最大限に発揮されます。この影響により、芋の肥大が通常栽培より良好だったものと考えられます。

垂直栽培の詳細はこちらの記事で解説しています!

 

rikeinokateisaien.hatenablog.com

 

垂直栽培のメリット・デメリット

実際に垂直栽培を行ってみて、垂直栽培にもメリットとデメリットがあると感じたので皆さんにシェアしたいと思います。

 

垂直栽培のメリット

①大きな芋がたくさん収穫できる

これは最大のメリットと言えます。皆さんは食べるために野菜を育てているわけですから、たくさん獲れたほうが嬉しいですよね。写真サイズの立派なサツマイモがごろごろ収穫できましたよ。

 

②サツマイモの生育状態を観察するのが容易

サツマイモ栽培で最も恐れるべき病気は”サツマイモ基腐病”ですが、垂直栽培はこの診断が比較的容易であると感じました。

サツマイモ基腐病は症状が現れると、葉や茎が変色したり茎の根本が萎れたりします。このような症状が発見された場合、他の株に影響を及ぼす前に早期にその株を除去することが必要ですが垂直仕立ての場合、その発見が簡単になります。通常栽培では地面を這うようにツルが広がっていくため、茎の状態を確認するためにツルを大きく持ち上げたり、かき分けたりする必要があります。しかし垂直栽培では常にツルや葉を支柱に誘引しているため茎や地際の状態が一目でわかり、病気の症状を早期に発見することができます。今回の栽培では幸い、病気の影響はありませんでした。

サツマイモ基腐病については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

rikeinokateisaien.hatenablog.com

 

垂直栽培のデメリット

①誘引作業が大変

サツマイモ栽培は基本的に追肥がなくても育てることができるため、手間いらずの野菜なのですが、垂直栽培では誘引が必要になります。サツマイモ栽培では特にツルが旺盛に伸びるため、誘引する高さも必然的に高くなりますし、茎や葉が多いので縛り付けるために必要な力も結構必要です。

 

②支柱が必要になる

私はそれほど支柱を保有していなかったこともあり、今回は一部の株のみで垂直仕立てを試してみましたがもしたくさんの苗を植えられる場合、支柱もそれだけの数をそろえる必要があります。

支柱も最近では100円均一ショップで手に入るとはいえ、たくさんそろえるとなるとなかなかの痛手です。

 

私なりの結論

今回実際に垂直栽培、通常栽培の両方を行ってみて、私なりの結論を出しました。

それは「小規模な垂直栽培が最強!!」ということです。

この結論の根拠は3つあります。

 

①小規模でもある程度の収量を確保できる

今回の実験でわかったことは、垂直栽培では通常の栽培よりも収量が見込めるということです。そのため、通常栽培に比べ必要なスペースが少なくなります。そうすれば空いたスペースで別の野菜を育てることができます!

 

②誘引作業が思いのほか大変だった

実際にやってみて感じたのが、垂直仕立ての誘引作業の大変さ。特にサツマイモはツルの生育が旺盛なため誘引作業の頻度が他の野菜よりも多くなります。そのためたくさんのサツマイモを垂直栽培で育てるのはかなりの労力が必要になると感じました。

 

③資材の準備が大変

こちらは金銭的な問題ですが、資材をたくさん準備するのが痛手というのも小規模でいいと感じた理由の一つです。サツマイモを家庭菜園で栽培するなら、ほどほどの規模で垂直栽培をするのが家庭菜園の方にはぴったりの方法だと思っています。

 

まとめ

今回はサツマイモの垂直栽培について、実体験に基づいた私なりの方針をご紹介してきました。垂直栽培に挑戦したことがない皆さんも実験的に垂直栽培にトライしてみてはいかがでしょうか。

では、また次の記事でお会いしましょう!