農家を震撼させるサツマイモ基腐病とは?家庭菜園で気を付けるポイントを解説!
こんにちは、けいたろうです。
今回は数年前からサツマイモ農家を震撼させている「サツマイモ基腐(もとぐされ)病」について解説します。
サツマイモは栽培も比較的簡単ですし収穫も楽しく、さらに食べてもおいしいということから家庭菜園でも人気の野菜ですよね。
そんなサツマイモですがこの恐ろしい病気にかかり、最悪の場合収穫がゼロということにもなりかねません!
この病気についてはとても怖い病気だと感じましたので、ぜひ皆さんにも共有したいと思い記事にしました。
これから解説する対策事項をよく理解して、家庭菜園レベルでも対策をしていただきたいと思います。
この記事はこんな人におすすめ!
・サツマイモを栽培中の方
・病害虫のトレンドを押さえておきたい方
記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。
この記事の結論
・持ち込まない、増やさない、残さないの対策を徹底しよう!
サツマイモ基腐病とは?
発生時期や被害状況
サツマイモ基腐病は2018年秋頃から鹿児島県や宮崎県で発生した病害です。
サツマイモ基腐病にかかった株は根本付近が茶色くなって立ち枯れ、病気が進行するとイモが腐敗します。2018年に発生が確認された病気ですが、サツマイモ基腐病はいまや全国各地に広まっています。
このように急速に全国に拡大した理由としては、病原菌に感染した種苗が全国に流通したことが挙げられます。
病気が発生した農家では収穫したうち、3割を廃棄せざるを得なかったのだとか。
サツマイモ基腐病は押さえこみが難しく、畑全体に病気が広がると採算が合わなくなるため栽培をやめようと考える農家もいるほどの被害が各地で発生しています。
サツマイモ基腐病の病原菌
サツマイモ基腐病の病原菌は糸状菌です。いわゆるカビの仲間であり、水などを媒介して感染範囲を拡大させます。
この糸状菌はヒルガオ科であるカンショにのみ感染し、雨など水に触れると胞子が漏出し、水の流れにのって隣の株、さらにまた隣の株へと感染をどんどん広めていき、最悪の場合畑全体にいきわたります。
この病気が厄介なのは、発病の初期症状がわかりにくいことです。
旺盛にツルが繁る時期では細部まで株の状態を見ることが難しいためです。
次にご紹介する見るべきポイントを押さえて、株の状態を常に注視しましょう!
こんな症状があったらサツマイモ基腐病かも?
茎葉が繁茂する時期には葉が黄や紫色に変色したりツルが黒~黒褐色に変色したり、株が萎れたりします。
また発病中の株は地際の茎が褐色~暗褐色に変色し、腐敗(壊死)します。
サツマイモは旺盛に茎葉を繁茂させますが茎葉、ツル、株元の様子をこまめに観察し、病気にかかっていないかチェックすることが大切です。
このチェックは、これから紹介する対策を実施している方も怠らないほうがよいです。
なぜなら、対策をしていても外部から(たとえばお隣の畑から)病原菌が感染するケースもあるからです。
サツマイモ基腐病対策
持ち込まない対策
①健全苗を使用する
健全な苗とは無発病地域の苗であったり、適切な方法で管理された苗のことです。
できれば、生産履歴がはっきりしたものが入手できると安心です。
ただしホームセンターや種苗店に売っている苗で、そこまで確認することが難しい場合は、次の対策を実施するとよいでしょう。
②苗消毒をする
サツマイモ基腐病の病原菌に効果のある消毒剤があります。
ベンレート水和剤もしくはベンレートT水和剤20という薬剤を希釈した液に基部を30分程度浸漬処理しましょう。
こうすることで、万一苗に病原菌が潜んでいたとしても殺菌することが可能です。
ただし、これらの薬剤は当然農薬ですので、抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。
どうしても農薬を使用したくない場合は、次でご紹介する増やさない対策の徹底が必要です。
増やさない対策
①早期発見をする
定植後、病気を早期発見し感染を食い止めることが増やさない対策につながります。
サツマイモ基腐病は定植後約1か月頃から発生が認められるケースが多く、定植後1か月経過後からは特に注意して、株の様子を観察する必要があります。
感染が疑われる株があった場合には、早期に除去することが望ましいです。
早期に収穫することで芋の腐敗が進んでいないタイミングで収穫できる可能性が高まります。
ただし、芋の腐敗症状は貯蔵中にも進行する場合がありますので、ご注意ください。
②農薬で防除する
サツマイモ基腐病に対する葉茎散布剤としては、銅水和剤、炭酸水素カルシウム・銅水溶液およびアゾキシストロビン水和剤が農薬登録されています。
農薬の効果が認められてはいるものの、病気の株の早期除去が望ましいと思います。
残さない対策
残さない対策で一番大切なことは、病気に感染した株の残渣を土中に残さないということです。
残渣が土中に残ると、越冬して次作の発生源となります。
土壌消毒の方法としては薬剤を使用する方法や微生物の力を借りて残渣をしっかり分解する方法があります。
微生物のはたらきを活発にするためにビニール等で土を多い、土中温度を15℃以上で保ち、適切な水分を保つことも土壌消毒の一環としては有効のようです。
微生物のはたらきを活発化させるためには、えひめAIの活用も効果的かもしれません。
まとめ
今回はサツマイモの恐ろしい病気、サツマイモ基腐病について解説しました。
私自身はまだ感染した株を直接見たことはなく、写真で衝撃をお伝え出来ないことが申し訳ないのですが、ぜひ皆さんも写真等でその恐ろしさをご自身の目で確認してみてください。
今回ご紹介した3つの対策「持ち込まない」「増やさない」「残さない」を意識してサツマイモ栽培に挑戦していただけたらと思います。
サツマイモ基腐病は最近では2008年に台湾、2014年に中国、2015年に韓国とアジア地方でも拡大していた病気でした。
現在日本でも輪作の有効性検証や抵抗性品種の開発が進められているようです。
今後の種苗メーカーの動きに期待しましょう!