理系と学ぶ家庭菜園術

理系なりの解釈で野菜づくりを学んでいきます

不織布の特徴を理系が解説!家庭菜園における最適な使い方とは?

こんにちは、けいたろうです!

今回は農業資材である不織布について、ご紹介ができればと思っています。このような農業資材は、素材の特徴を理解できると一層菜園ライフが楽しくなりますよ。

不織布は特に秋から冬にかけては不織布が活躍する場が増えますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

この記事はこんな人におすすめ!
・不織布の特徴を知りたい方
・不織布の使い方をマスターしたい方
・家庭菜園をとことん楽しみたい方

 

この記事の結論
不織布は安価で優れた資材!でも強度が弱いため、べた掛けなどがGOOD!!

 

 

 

不織布とは?

不織布は、日用品(ガーゼやフェイスマスク、コーヒーフィルター)から工業用品(ろ過材、防音材)まで用途に応じて幅広い分野で使われています。不織布とは呼んで字のごとく、「織っていない布」のことを指します。不織布の素材には大きく分けて「天然繊維」と「化学繊維」の2種類あり、農業資材として一般に用いられるのは化学繊維の不織布です。

不織布の製法としてはいくつか種類があるものの、いずれの不織布も無数の繊維が絡み合うことで1枚の布として成り立っています。強度面では織った布には劣りますが、裏を返せば風合いが柔らかい素材とも言えます。さらに、繊維がランダムに絡み合っているため、ランダムな形状の孔(あな)があり、多孔質構造と言われています。この孔が農業分野でどのようなメリットをもたらすかについては、後述します。

園芸用に販売されている不織布の多くはポリプロピレン製です。ポリプロピレン繊維は水を吸収したり吸湿したりしにくい材質で、軽くて丈夫であることが特徴です。

 

不織布の特徴

1. 通気性に優れる

不織布の最大の特徴は通気性が優れていることです。不織布は短い繊維を交絡(こうらく)させて作られるため多孔質な構造となっており、この部分を介して空気が行き来しやすいのです。

通気性に優れるとは言っても蒸れない程度に空気が入れ替わる、という表現が適切かもしれません。私たちの生活に置き換えてみるとイメージしやすいかもしれませんが不織布マスクだと適度に空気が入れ替わるため、息苦しいと感じることも少ないのではないでしょうか?一方で、布製のマスク着用時に息苦しい経験をされたこともあるのではないでしょうか。これは布がきちんと織られているため、空気の行き来がしづらいことに起因しています。

 

2. 保湿性に優れる

冬場にマスクをしているときには、肌が適度に保湿されている感覚がありませんか?これは不織布が適度な保湿性を持っているからです。これまでご説明してきたように不織布は多孔質で、空気の通り孔(あな)がたくさんありますが、この孔はごく微細であるため空気が完全に入れ替わることはなく、不織布で仕切られている空間内は常に適度な湿度が保たれます。またマスクや農業用不織布は化学繊維で作られているものが大半で、化学繊維自体は基本的に水分を吸収しませんので、水分が外に逃げるのを防いでくれる役割もあります。

 

3. 保温性に優れる

不織布で仕切った空間は適度な水分が保たれ、空気の流れも緩やかになるため熱が溜まりやすい環境になります。実は水蒸気は温室効果の高いガスの一つと言われており、地球に生命が生きていられる適度な温度を保てているのも水蒸気の影響がかなりあります。そのため保湿性のある不織布はしばしば保温性がある資材とも言われます。

しかし、不織布は多孔質構造であり保温効果がそれほど高いわけではないため、保温性を期待する場合にはもう少し適した資材がないか、検討が必要になります。

 

不織布の使い方

不織布の使い方を3つご紹介します。

 

べた掛け

「べた掛け」とは、畝全体に直接不織布などを掛ける使い方を指します。べた掛けすることで保温性、保湿性が高まり発芽促進、生育促進効果が期待できます。また物理的に鳥や虫から作物を守ることもできるため、特にマメ科のタネ蒔き後にはよく使われます。

また、保温効果が期待できることから霜対策にも有効な使い方と言えるでしょう。べた掛けは不織布の上から水やりを行える点も便利な点です。

 

トンネル栽培



「トンネル栽培」とは、アーチ支柱などを使って小さなトンネル状の骨組みを作り、畝を不織布等の被覆資材で覆う方法です。トンネル栽培もべた掛け同様に保温・保湿効果や防虫・防鳥効果が期待でき、生育の促進に繋がります。しかしトンネル栽培では骨組みにパッカーやピンチを使って固定する必要があり、強度が比較的弱い不織布では強風などの影響で破れてしまうリスクがあります。

 

行燈(あんどん)栽培

行燈栽培とは、作物の四方に支柱を立て行燈のように作物を囲う栽培法です。行燈栽培にはよく肥料袋や透明なビニール袋が用いられていますが、不織布で行う方法もあり、防風効果や保温効果が期待できます。

 

私の思う不織布の一番いい使い方は?

私が思う不織布の一番いい使い方は、ずばり「べた掛け」です。実は以前不織布を使ってトンネル栽培をしていたことがありましたが、安い不織布を使っていたため、強度が思いのほか弱く途中で破れてしまいました。行燈はトライしたことがありませんが、本当に風を防ぎたいのであれば肥料袋のような隙間のない資材のほうが適している気がします。

不織布をべた掛けで使う場合は、地面にピンを差して固定してもいいですが、土をかぶせて固定することもできますので取り外しも比較的簡単にできますし、べた掛けであれば破れるリスクもほとんどないため、不織布を再利用することもできます。

 

まとめ

今回は不織布についてご紹介してきました。

不織布は日常生活には欠かせない素材でありながら、園芸・農業分野でもとても有用な資材だということがわかっていただけたかと思います。

特に秋~冬にかけては保温、保湿効果が期待できますし、防虫・防鳥対策としても使うことができます。皆さんもうまく不織布を活用しながら楽しく家庭菜園を楽しみましょう!