病害の8割はカビが原因だった!?土を見直して病気知らずの畑を目指そう!
こんにちは、けいたろうです!
野菜作りは、収穫する瞬間が楽しいと感じるかたも、成長する過程が
楽しいという方も色々いらっしゃると思います。
でも私はいつも楽しいことばかりではなく、闘いの連続だと感じています。
いつも”奴ら”と闘い続けているからこそ、野菜作りに成功した時の喜びが一層大きなものになっていると思うのです。
そう、その奴らとは「病害虫」です。
今回は特に「病害」についてピックアップしてみたいと思います。
この記事はこんな人におすすめ!
・病害を防ぐ方法を知りたい方
・土作りを頑張りたい方
記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。
この記事の結論
病害の原因の8割は「糸状菌」
土壌の物理性、化学性、環境を整えることで病気が発生しにくい土壌にできる!
病害の原因
病害を発生させる原因の約80%が「糸状菌」です。
糸状菌(しじょうきん)は一般的にはかびと呼ばれている菌のことです。
かびと一言で言っても、糸状菌の仲間には醤油や日本酒等の発酵に用いられたり、抗生物質「ペニシリン」を生み出したりするものもいます。
糸状菌の中のごく一部が作物に悪さをします。
土壌中には、微生物が数えきれないほど存在していますが重量にして約70%を
糸状菌が占めていると聞いたら皆さんも驚くことでしょう。
露地栽培においては土が必須になりますが、この土と糸状菌、土と病原の関係は
切っても切れない関係であることがわかります。
今回は、糸状菌による病害を抑制するための土壌作りについて解説します!
糸状菌を知る
糸状菌とうまく付き合うためにまずはその特徴、個性を知りましょう。
①温暖で多湿な環境が好き
糸状菌は暖かく、湿っている場所が大好きです。
お風呂場にかびが発生しやすいため、イメージしやすいのではないでしょうか。
土壌の場合、表層から少し掘ると土が湿っていることが多々あります。
こういった環境はかびにとって格好の住処となっています。
またかびは胞子を飛ばすことで増殖しますが、雨が降ると胞子が飛散しやすいのだそう。
梅雨時は糸状菌には要注意です!!
②こんな病気は糸状菌が原因!
糸状菌がもたらす主要な症状は以下のようなものがあります。
・萎縮 ・変形 ・腐敗
・葉の変色
上記症状が出たら、まずは糸状菌を疑ってみてください。
また糸状菌がもたらす病気の中でなじみのあるものとして
・べと病
などが挙げられます。
病気の感染経路を知ろう
①空気感染
空気感染は胞子で増殖する糸状菌で起こりやすい感染経路です。
胞子が空気中を舞い、植物に付着した場所で増殖を始めます。
環境さえ整えば、数千キロ先に感染するなんてこともあるのだとか。
空気感染で発症しやすい病気は以下のものがあります。
②土壌感染
土壌微生物のうち、糸状菌は重量ベースで実に70%近くを占めていますが、
その中で悪さをする糸状菌はごく一握りです。
土壌由来の病気では主に根を介して感染します。
土壌感染で発症しやすい病気は以下のものがあります。
・根こぶ病
・萎凋病
③その他感染経路
そのほかにも、以下の感染経路があります。
・種苗感染(種苗の病気が次世代に感染する)
・水媒感染(胞子等が混入した水で感染する)
・人の手指や農機具の接触
などなど、作物はあらゆる方面から感染リスクを抱えています。
これからは特に糸状菌の住処である「土壌」と「病気」に着目して、
対策を見ていきましょう!
病原予防対策4選
作物を病原から守るために、どのような予防策が打てるのでしょうか。
事前にできる4つのことを覚えておきましょう!
予防策1:水はけのよい土壌を作る
復習ですが、基本的に糸状菌は高温多湿の環境を好みます。
逆に言うと高温多湿の環境がなければ、増殖を抑制することもできます。
下記対策をすることで増殖しやすい環境を断ちましょう。
水はけのいい土壌にするためには
水はけのいい土にする方法には、様々なものがありますがミミズの力を借りたり
水はけ改善効果が期待できる、下記資材を土にすきこんだりすることをおすすめします。
また、「自然の鍬」ことミミズを畑に増やしてあげることも大切です。
ミミズの増やし方については、過去の記事をご参照ください。
rikeinokateisaien.hatenablog.com
予防策2:連作を避ける
予防策2つめは連作を避けるということです。
連作というのは、同じ「科」の作物を同じ場所で続けて育てることです。
連作をするとその付近の土壌の栄養バランスが偏り、微生物の多様性が乏しくなります。
微生物の多様性が崩れると、植物を取り巻く環境が単調となるため軟弱な株となり
病気になりやすい体質となってしまいます。
人間で置き換えると過保護に育てられて、打たれ弱い人間になってしまうといったところでしょうか。
植物は多様性に富んだ環境で育ったほうが健康的に育ち、自衛能力も上がります。
実は連作については、諸説あるようで木嶋利男著「連作のすすめ」といった本も出版されています。
私はこちら未読ですので、いつか読んで記事にしたいと思います。
予防策3:土壌pHを適正に保つ
一般に土壌の適正pHは5.5~6.5程度と言われています。
土壌pH状態によっては、糸状菌由来の病原を
例えば酸性土壌に傾きすぎると根こぶ病やトマト萎凋病が発病しやすくなるし
アルカリ土壌に傾きすぎるとジャガイモそうか病等の発生が起きやすくなります。
土壌のpHには注意しながら栽培できるといいですね。
予防策4:菌で菌を制する
非常に面白い発想の病原菌予防策です。
病原菌が発生する前にいい菌を葉に住まわせておく、というのがコンセプトの予防策です。
この予防策は以下のように行います。
①米ぬかを畝間に撒いておき、糸状菌が増えやすいように湿らせておく。
②ここで発生した糸状菌が胞子を出し、作物の葉面で増殖する。
③これらの菌があらかじめ葉面を支配することで、病原菌がきたときには
居場所がないばかりか病原菌を食べたり、殺菌したりして定着できないようにする。
これは非常に面白いですよね。
米ぬかを直接畑に撒くというのは虫発生という点から注意が必要ですが
特にうどんこ病にかかりやすい作物を育てるときには試す価値ありです。
この方法で発生する糸状菌の種類にはには、
ケカビ、アオカビ、クモノスカビ、赤パンカビ等があります。
発病後の対応
色々対策頑張ったけど、発病しちゃった・・・
こんなときはどうしたらいいの?
大丈夫です。
農薬を使わない応急処置もありますので、これから2つの方法を紹介します!
木酢液を使う(葉面、土壌散布)
木酢液は木炭や竹炭を焼くときに出る蒸気に含まれる成分です。
溶液のpHは酸性で酢酸、アルコール分等を含みます。
酢酸やアルコール分には殺菌作用があり、症状がある葉や根元に対して使用すると、
病原菌の増殖を抑制することができます。
また木酢液には微生物のエサになる有機酸が多く含まれていることから、
散布した部分の微生物の活性を高め、健康的な土壌環境を作る効果もあります。
目的によって木酢液を使いこなしましょう!
※製品によって希釈倍率が異なります。希釈倍率は説明書きを参照ください。
重曹を使う(葉面散布)
重曹はアルカリ性の物質で、家庭での掃除などによく用いられますよね。
重曹を800~1000倍に薄めた水溶液をうどんこ病に散布すると、
かび胞子の形成が阻害されるため、うどんこ病には効果的です。
ただし、一気に効くものではないので、根気よく散布を続けましょう。
さいごに
これまで、土壌と病気の関係をお話してきました。
土壌の物理性(水はけ)、化学性(pH)、環境(微生物、養分の偏り)を整えることで
病気が発生しにくい土壌にすることができます。
皆さんも下記4つの予防策を実践しながら、病気になりにくい土壌作りをしていきましょう。
今回のおさらい
①水はけをよくする
②連作をしない
③土壌pHに気を付ける
④菌で菌を制する
それでは次の記事で会いましょう!
ミミズのいる土ってなんでいい土なの?ミミズがもたらす驚きの効果とは!?
こんにちは、けいたろうです!
最近馬糞堆肥を畑にすきこんだら、爆発的にミミズが増えました。
現在私の畑には三角ホーでひと掻きすると1匹見つかるくらいの密度でミミズが住んでいます。
畑にミミズがいることはいいことだとよく耳にするため、ミミズが増えてラッキーと思っていました。
しかしよくよく考えると、ミミズが実際にもたらす効果を知らないためミミズが増えたことで何がどうラッキーなのか、どうして増えたのか気になりました。
そこで、土に住む身近なミミズについていろいろ調べてみることにしました。
この記事はこんな人におすすめ!
・ミミズがもたらすメリット、デメリットを詳しく知りたい人
・肥沃な土づくりをしたい人
記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。
この記事の結論
ミミズはメリットが大きい生き物に違いないが、実は注意点もある!
本編で詳しく解説していきます。
ミミズってどんな生き物?
ミミズは無脊椎動物に分類され、世界中には約7000種のミミズが確認されています。
日本だけでも100種類程度存在しているようです。
ミミズは古くから「自然の鍬」と呼ばれ、近年は「生態系の技術者」や「土の健康のバロメーター」などと呼ばれ方もしています。
自然科学者のチャールズ・ダーウィンはミミズのことを「地球上でもっとも価値のある動物」と褒めたたえています。
またアリストテレスはミミズを「大地の腸」と言い表しました。
これほどまでミミズのことを益虫と崇めているのに、どういったメリットがあるか具体的に説明できる人はなかなかいないような気がします。
次の章で、具体的なメリットを覚えましょう!
ミミズの重要な行動4つ
1.動く
1つ目のミミズの行動は「動く」ことです。
ミミズが土の中を動き回ることで土中に地中に孔の道ができます。
この孔には空気が入り込み、「ふかふかの土」になるわけです。
土の中に空気が含まれることによって、根の細胞呼吸が活発になり根はりの向上が期待できます。
またミミズが作った孔には水も入り込みやすくなるため、通気性に加え水の浸透性もよくなり水はけのいい土となります。
2.食べる
ミミズは、口から有機物を飲み込み、エネルギー源を得ています。
この有機物が咽頭や腸内を通過していくうちに、体内で分泌された尿素、塩類、酵素の作用を受けながら細かな粒子になります。
また消化の際にはミミズの腸内細菌や酵素等のはたらきにより下記効果がもたらされます。
・リン酸やカリウムを根が吸収しやすいかたちに変換
・カルシウムを再び結晶化
・ビタミン類を合成
さらにミミズは1日に自分の体重と同じくらいの有機物を食すと言われており、ミミズの寿命が1年(畑でよく見かけるフトミミズの場合)と言われていますので、生涯に食し、粒子を細かくする土の量は馬鹿になりません。
3.糞と分泌液を出す
ミミズは1日に自分の体重と同じくらいの有機物を食べるため、当然その分排泄の量も多く、1日に自分の体重の半分~2倍排出されると言われています。
この糞尿が土によい効果をもたらします。
ミミズの糞には作物の生育に必要な養分が多く含まれています。
排出された糞と土を比較すると下記のような特徴があります。
・全窒素分が約3倍になる
・リン酸が2.5倍になる
・腐食酸(腐食物質)が14倍になる
・アミノ酸が豊富に含まれる
・pHが弱酸性(pH6程度)となる 等
※表は土中の養分を1としたときのミミズ糞中の養分(最大値)を表す
ミミズの糞が別名「黄金の土」と言われる所以が理解できる気がしますね。
糞のほかにミミズは体に粘液をまとっており、この粘液も土によい効果をもたらします。
粘液にはタンパクが含まれており、このタンパク(窒素分)中に水分、炭素、リン酸などが多く含まれています。
この粘液はミミズの体表を覆っているため、ミミズが移動するたびに孔の壁面に付着し、この壁面に養分が集中しているためミミズが通った孔は微生物にとって格好の繁殖場となるそうです。
微生物が繁殖する場所には植物が必要とする養分が生まれるため、植物の根にとっても大変よい環境ということが容易に想像できます。
4.死骸となる
ミミズの体にはタンパク質のほかビタミン等多く含まれるため
死骸が分解された後も良質な養分として土に還元されます。
ミミズが増えることはいいことばかりではない!?
これまでミミズがもたらすメリットを懇々と語ってまいりました。
しかし、世の中そんなにうまい話があるものかと、デメリットについても
調べてみました。
デメリット1:モグラが寄り付くリスクが高まる
モグラはミミズが大好物です。
モグラが直接作物を食べることはないようですが、せっかく整えた畝を乱されたり、モグラが掘った穴にネズミが侵入するなどして二次被害が発生するケースもあるようです。
こういった理由でモグラは害獣と言われることも多く、畑にいないほうが望ましいです。
デメリット2:そもそもミミズが住んでいることが問題・・・!?
これは厳密にいうとデメリットではありません。
ミミズは有機物を食べ土壌改善をしてくれます。
つまり有機物がたくさん含まれている土にはミミズが多く住むことができるのですが、有機物がたくさん含まれる土は植物のための土としては未完成の状態であるとも言えます。
(成熟した肥沃な土というのは有機物が分解され、腐植が多くある状態だからです。)
「私の畑はミミズがたくさんいる」と自慢げに話していても、「私の畑はミミズのエサが豊富にある未完成な畑です」と言っているも同然なのです。
ただ、化学肥料等を多く使用する畑では未完成な土壌状態でもミミズが生息しにくい環境となりやすいため、そういった意味ではミミズがいる状態は決して悪い状態ではない、とも言えますね。
ミミズを増やすにはどうしたらいい?
これまでの説明で皆さんが考えることは一つでしょう。
「ミミズを畑に増やしたい!」そんな声が聞こえてきそうです。
たくさん購入したり、採取したりして畑に放つというやり方も考えられなくはないですが、現実的ではなさそうです。
そのため、自然に増やす方法が一番手っ取り早いと思います。
ミミズを増やす方法を以下で解説します!
畑をむやみに耕さない
いい土作りには耕すことが重要だと思っていましたが、ミミズの住環境を壊さないためにもむやみに耕さないことが重要です。
耕すことで、ミミズが住んでいる環境が変化し、住みづらくなる可能性があります。
また耕す過程で、鍬などで物理的に死んでしまうこともよくあります。
有機肥料を使う
有機肥料はミミズのエサとなります。
エサがあれば当然ミミズは増えやすくなります。
ミミズを増やしたい場合は化学肥料ではなく、有機肥料を畑に施肥してください。
私は馬糞堆肥を入れてミミズが爆発的に増えました。
堆肥生産者の方から直接購入したときにお話させていただいた際には
「堆肥作ってるとミミズがたくさんわくから堆肥にも入っているかもしれないけど、ごめんね」とおっしゃっていました。
馬糞堆肥中には有機物が豊富に含まれており、ミミズにとっては住みやすい環境でしょう。
ミミズ入りの馬糞堆肥を畑にすきこんだ私は、にんまりです。
もともと畑にいたミミズたちにもいいエサを補給する形となり、
畑のミミズが明らかに増えました!
ミミズのおかげで私が仕事中にも自動で土が耕されています。笑
さいごに
今回はミミズが実のところどういったメリットをもたらしてくれるのか、わからなかったので気になって調べてみました。
ミミズは決して見た目がいいとは言えませんので敬遠していた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の記事を読んだらミミズに愛着がわくかも(?)しれないですね。
ミミズがもたらすメリットをありがたく享受して、野菜づくりに取り組みましょう!
これからも皆様の役に立つ記事作りを目指していきます。
それでは次の記事で会いましょう!
【実践編】ぼかし肥料の作り方から使い方まで解説!気になるぼかし肥料3選も!
こんにちは、けいたろうです!
突然ですが皆さん、ぼかし肥料を作っていますか?
これから挑戦する初心者の方、ぜひこちらでぼかし肥料の基礎を学んでいただけたらと思います!
「作ったことはあるけど他にいい作り方はないかな?」と向上心の高い方にもためになるようなことをまとめておりますので、最後までお付き合いください!
今回は基本的なぼかし肥料の作り方や、使い方までご紹介していきます。
そして、基本を身につけた方向けには変わり種ぼかし肥料もご紹介するのでお楽しみに!
この記事はこんな人におすすめ!
・これからぼかし肥料作りにチャレンジしたいと考えている人
・変わり種ぼかし肥料に興味がある人
ぼかし肥料とは
ぼかし肥料とは、数種類の有機物をブレンドし微生物の力を借りて発酵・分解させて作る肥料のことです。
緩効性、即効性の両方の性質を併せ持つため万能な肥料として知られています。
また原料のほとんどが生物由来の材料であるため環境循環型の土壌にもやさしい肥料です。
実際に作ってみよう!
用意するもの
用意するものはたったこれだけです!
・有機物材料(米ぬか、油かす等)
・水
・発酵促進剤
・容器(畑等の露地で作らない場合)
容器はなんでもいいです。ただ水を使用するため、段ボール等の水分が抜けていくような素材は避けてください。大きめのビニール袋でもいいですし、100円ショップで売っているようなプラスチック製の容器でも構いません。
発酵促進剤は市販のEM資材のほか、土着菌を含む土、納豆などがありますので後ほどのQ&Aのコーナーで詳しく説明します。
ぼかし肥料の作り方(好気性発酵の場合)
①配合する有機物と発酵促進剤を容器の中で混ぜ合わせる
全体にむらがなくなるようによく混ぜ合わせます。
水を入れる前のほうが混ざりやすいのでここでしっかり混ぜましょう。
手で混ぜると均一になりやすいですし、何より気持ちいいです(笑)
②水を少しずつ加えながら、さらに混ぜ合わせる
一気に水を入れるのではなく、少しずつ加えます。
水加減は握ると混合物が固まり、指で押すと簡単にほぐれる程度がベスト!
くれぐれも水の入れすぎに注意して下さい。
万一水を入れすぎたら、有機物を足して水加減を調節しましょう。
③あとは基本的に微生物にお任せ!・・・ほんの少し微生物のお手伝い
あとの仕事のほとんどは微生物が発酵を進めてくれますのでお任せです。
混ぜ込んで数日後に発熱してきますので、翌日発熱していなくても気長に待ちましょう。
好気性発酵の場合は定期的にかき混ぜて全体に酸素をいきわたらせる作業が必要となります。
私は1~2日おきにかきまぜるようにしています。
途中水分が蒸発しているようでしたら適宜水を足してください。
また、綿状の白カビが発生する場合がありますが、問題ありません。
むしろいい兆候といえます。発酵が進んでいる証拠です。
かき混ぜるときにはできるだけ50℃以上にならないように、混ぜ具合で温度管理ができるとなおよいです。
あくまで目安ですが春夏秋は10日~2週間程度、冬場は1か月程度で使えるようになりますので、使いたいタイミングを見極めて作り始めるとよいでしょう。
④乾燥させる(保管する場合)
発酵をある程度で止めることで、畑に施肥した後にも効果が持続します。
シートなどに広げて水分率を落としておくと、6か月程度は使えると言われています。
ぼかし肥料の作り方(嫌気性発酵の場合)
①配合する有機物と発酵促進剤を容器の中で混ぜ合わせる
②水を少しずつ加えながら、さらに混ぜ合わせる
最初の手順は好気性発酵の場合と同じですので割愛します。
③密閉できる容器に入れて、封をする
嫌気性発酵では空気がない状態でないといけません。
宇宙空間で作業ができればいいのですが、地上ではそうも言っていられません。
大きい肥料袋や市販のビニール袋などに入れ、極力空気を抜いて袋の口を縛りましょう。
あとは本当に完成まで放置するだけです。
好気性発酵とは違い切り返しは不要です。
完成までには春夏秋では1か月、冬は2~3か月を目安とするとよいと思います。
④乾燥させる(保管する場合)
好気性ぼかし肥料と同じく、保管する場合は水分率を落としてから保管しましょう。
ぼかし肥料の使い方
元肥として使う
ぼかし肥料は元肥として使うことができますが、少し注意が必要です。
ぼかし肥料中には発酵段階で有機質が分解されたことで、植物がすぐに吸収しやすい状態の肥料成分が入っています。
そのためぼかし肥料には即効性があるのですが、元肥としてぼかし肥料を施肥しすぎると栄養過多、特に窒素過多になることで徒長したり虫や病気にかかりやすくなったりします。
そのため元肥として使い場合は少なめの施肥を心がけ、足りない分は追肥で補うようにするとよいと思います。
追肥として使う
ぼかし肥料は追肥としてのほうが効果を発揮できると言えます。
それは即効性と緩効性のハイブリッド肥料だからです。
すでに発酵させてあるので即効成分が含まれますし、未分解成分も含まれているため
施肥した後に土壌中の微生物によって実分解成分の発酵がさらに進み、長く肥料効果が続きます。
私もぼかし肥料は主に追肥として使っており、1年に数回作って保管しています。
ちなみに私は米ぬかと油かすを2:1くらいの割合で混ぜたシンプルなぼかし肥料を作っています。
気になるぼかし肥料3選
①米ぬか納豆ぼかし肥料
米ぬか納豆ぼかし肥料は有機物として米ぬか、発酵促進剤として納豆(納豆菌)を使ったシンプルなレシピです。
納豆菌は「分解屋」と呼ばれているほど分解能力の高い菌なので、発酵が進みやすく、初心者にもおすすめできるぼかし肥料です。
納豆菌の働きについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
rikeinokateisaien.hatenablog.com
このぼかし肥料は好気性発酵で作りましょう。
ぼかし肥料を少量仕込む程度であれば、納豆をスプーン1杯程度ぬるま湯に入れて混ぜたのち、米ぬかに混ぜ込むとよいでしょう。
用意できる方は米ぬか以外にも油かすや魚粉、骨粉等の有機物を混ぜてもよいと思います。
②化学肥料ぼかし
化学肥料ぼかしというものも存在するようです。こちらはこちらの本で紹介されていました。
この肥料は通常のぼかし肥料を作る発酵途中に、化学肥料を加えることで
ぼかし肥料と化学肥料が混ざった化学肥料ぼかしなるものが完成するんだとか。
作り方は化学肥料を少しずつ加えていき、ぼかし肥料に混ぜ込むだけ。
化学肥料をぼかし肥料に入れることで、窒素、リン、カリが微生物中に取り込まれるなど有機化され、流亡しにくい形態になるんだそう。
さらにこのぼかし肥料はたった10日で完成する点も特筆すべき点で、
通常のぼかし肥料よりも肥料成分も多くなります。
この本で紹介されていたのは単肥を入れるレシピでしたが、
窒素リンカリの成分が8-8-8の化学肥料でも同様にできるのではないかと思います。
私は化学肥料を使わないため家に化学肥料がありませんが、家に化学肥料があるよ!という方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
詳しい作り方が気になる方はコメント等で教えてください。
もし反響が大きいようでしたら、自身でも試してみようと思います。
③2段階発酵ぼかし
このぼかし肥料は2段階の発酵を経て作られるぼかし肥料です。
なんとこのぼかし肥料、好気性発酵と嫌気性発酵のどちらの発酵もさせるのです。
手順としては、
①好気性発酵を3週間行う
②嫌気性発酵を1週間行う
この方法のメリットは完成前1週間を嫌気性発酵にすることで温度の上昇が抑えられ、窒素分がガスとして逃げていくことを防ぐことができるそうです。
そのため効きのいいぼかし肥料になるそうですよ。
配合する資材はすでにご紹介したような米ぬか、油かす、骨粉等で問題ありません。
Q&A
素朴な疑問を解決します!
①材料について
ぼかし肥料にはどんな材料が使えるの?
いい質問です!代表的なものをご紹介します。
・米ぬか ・油かす ・骨粉
・魚粕 ・もみ殻 もみ殻くん炭
・鶏糞 ・おがくず ・生ごみ ・おから 等
他にも色々ありますがほんの一例です。
②発酵促進剤について
発酵促進剤ってわざわざ買わないといけないの?
そんなことはありません!市販のEMを使用すれば確実ですが、代用はいくらでもできますよ。
・納豆 ・ヨーグルト ・乳酸菌飲料
・土着菌がついている土 ・前回作ったぼかし肥料 等が代用できます。
③資材の入手方法について
ぼかし肥料の作り方はなんとなくわかったけど、材料はどこで手に入るの?
早い話、ホームセンターに行けば何でも揃っています!
ですが、できるだけ安く材料を集めたいですよね?
そんな方におすすめな材料はこちら!
・米ぬか・・・コイン精米所の隣の小屋に無料で米ぬかがいただける場所があります。
・もみ殻・・・カントリーエレベーターやライスセンターでいただける場合があります。
・家畜糞・・・お近くの養鶏場、農場、競馬場、等で格安で販売されているケースがあります。発酵まで行っているところも少なくなく、良質な堆肥を安くいただけますよ。
さいごに
今回はぼかし肥料の作り方から使い方までを解説しました。
また私の気になるぼかし肥料も3つご紹介しました。
これを機にぼかし肥料を新たに始める方のお役に立てましたら幸いです。
また、今回ご紹介した3つのぼかし肥料はなかなか面白いぼかし肥料だと思いますので、皆さんもぜひ挑戦してみてください。
それでは次の記事でお会いしましょう!
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これを知って失敗知らず!ぼかし肥料の作り方【予備知識編】
こんにちは、けいたろうです!
突然ですが、肥料はホームセンターや園芸店で購入するものと思っていませんか?
・・・はい、それ実は昔の私です(笑)。
家庭菜園を初めてから、自分で肥料を作ることができることを知り、しかもその肥料づくり自体が楽しいことに気が付きました!
今回はぼかし肥料についてご紹介していきたいと思いますが、作り方がわかるだけではなく、適切な配合やその理由等もご紹介するので、これを読み終えた皆さんはきっと自分だけのオリジナルぼかし肥料が作れるようになりますよ。
また、これまで何度も作ってるよ!という人も、少し変わったぼかし肥料もご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
この記事はこんな人におすすめ!
・これからぼかし肥料作りにチャレンジしたいと考えている人
・自分流オリジナルぼかし肥料を作りたい人
ぼかし肥料とは
そもそもぼかし肥料とはどういった肥料をさすのでしょうか。ぼかし肥料とは、一般的に有機質を発酵させて作る肥料のことをさします。一般には2つ以上の有機質や人によっては無機質なども配合して作られています。ぼかし肥料は畑に散布した後も分解が継続するため、持続性(緩効性)があり、かつ化学肥料のように即効性もある万能肥料です。
これを知れば人と差がつく!
ぼかし肥料作りのレシピをご紹介する前に、まずは基本を押さえましょう。これを知っているか知らないかで、今後のぼかし肥料づくりに大きな差が出ますよ!
発酵の種類を知る
実は単に”発酵”といっても、ぼかし肥料づくりにおいては2種類あります。
・好気性発酵
・嫌気性発酵
この2つについて、簡単に説明します。
好気性発酵
空気(酸素)がある状態で活動する微生物の働きで有機物を分解する発酵です。
古くからおこなわれてきた堆肥作りは基本的にこの好気性発酵を利用しています。
メリットとしては
・仕上がりが早い
・早く効く
・仕上がりにムラがない
といったことが挙げられます。
好気性発酵は酸素を必要とする麹菌や納豆菌が活発にはたらくことができるため、植物の栄養となるアミノ酸が豊富に含まれます。
嫌気性発酵
嫌気性発酵は反対に空気(酸素)がない状態で活動する微生物の働きで有機物を分解する発酵です。
メリットとしては
・つくるのが簡単
・養分ロスが少ない
といったことが挙げられます。
嫌気性発酵では酸素を必要としない乳酸菌や酵母菌が活発にはたらくため、好気性発酵に比べ分解が進行しないものの、有機質が分解されやすい状態に変化します。分解が進まない分、ガスとして逃げていく栄養分も少ないのです。土に散布すると好気性の麹菌や納豆菌がはたらき、肥料としての効果がきちんと表れます。
C/N比を知る
ぼかし肥料を作るうえで、避けては通れないお話です。
「しーえぬひ」と読み、有機物中に含まれる炭素(C)と窒素(N)の割合を数値で表したものです。
このC/N比が大きいほど、その有機物には炭素が多く含まれているということになります。
微生物の分解の過程では、炭素がCO₂として空気中に放出され、同時に窒素は微生物中に取り込まれタンパク質となります。ぼかし肥料の配合が炭素>>窒素というアンバランスな割合だと窒素が先になくなってしまい、微生物の活動ができなくなってしまうんです。つまり発酵がそれ以上進まなくなるので肥料としての効果はそれ以上期待できません。
これを「窒素飢餓」といいます。
この窒素飢餓を防ぐためにもC/N比のバランスをよく考えて、ぼかし肥料を仕込む必要があるのです。
ここで皆さんはぼかし肥料を仕込む際のC/N比については微生物が一番活発にはたらくことができる20~30程度がいいということを覚えておいてください。
でも、C/N比なんて分析機器もないのにわからないよ・・・
大丈夫です。おおよその目安ですがのC/N比を一覧にしましたので、参考にしてください。
全部を覚える必要はないと思いますが硬いものほどC/N比が高く、分解に時間がかかるイメージです。
この表を参考にしながら式を立てて計算をすれば、正確なC/N比で仕込むことができます。
ぼかし肥料によく使われる米ぬかがC/N比20程度と、ちょうどいい塩梅のC/N比となっているためぼかし肥料作りに慣れていない方は米ぬかをベースにするとバランスがとりやすいと思いますよ。
栄養素を知る
肥料というからには、窒素(N)、リン(P)、カリ(K)の配合にも気を付けたいところです。
ほとんどの人はどんな野菜にも使える肥料を作りたいと思いますので、バランスのいい配合を心がけましょう。
主な資材のN,K,Pの一覧を表にしますので、これらのバランスを考えながら配合を決定するといいかと思います。
私は基本的には米ぬかをベースとしてぼかし肥料を作っていますが、窒素分を補うために菜種油かすも配合しています。
例えば米ぬか:菜種あぶら粕=2:1に配合すると、
C/N比が約18、N:K:P=4:4:1.3となりますので、これだけでもまあまあバランスの取れた配合になると思います。
理想はここに鶏糞や魚粉など様々な資材を入れることですが、家庭菜園レベルでこれを実現するのはなかなかハードルが高いのではないでしょうか?
そのため、私のように小さな菜園を楽しんでいる方はまずは米ぬかと油かすを用意して、この2種類の有機質を使ってぼかし肥料作りに慣れることをおすすめします。
私は、米ぬか:菜種油かす=2:1を基本にして、じゃがいもなどカリを多く必要とする野菜には草木灰等でカリ成分を補うなど、必要に応じて肥料分を調整しています。
また、微量栄養素などを配合することで土に足りない栄養分を補うこともできます。例えばカルシウム分を補うために牡蠣殻石灰などを入れる人もいらっしゃるようです。
ピーマンやトマトなど尻腐れの予防としても、カルシウムは必要になりますので牡蠣殻石灰はとてもいい資材だと思います。
ここを押さえて失敗知らず!
ぼかし肥料を作る際のよくある失敗から、コツを押さえましょう。
①水分過多
②切り返し不足
③pHの偏り
よくある失敗例①:水分過多
よくある失敗としては水分過多があげられます。実は私も過去に水分で失敗したことがあります。
ぼかし肥料作りでは「水分が50~60%」が最適といわれています。そんなのわからないよ、という場合は、仕込んだ有機物を手で握ると固まり、指で触れると形が崩れる程度と覚えておきましょう。握ったときに水分がしたたり落ちるのはNGです。
私は以前ぼかし肥料を作る際にもみ殻を多く入れすぎてしまったために、手で握っても全然塊になってくれなかったことがあります。そのため塊になるまで水を入れ続けていたら水分過多になっていたようで、数日後腐敗したような嫌な臭いがしてきた、という苦い思い出があります。
どうやらもみ殻の中に水分が入り込んだせいで水分量がわかりづらくなってしまったようです。
以後、私はもみ殻を入れすぎないレシピでぼかし肥料を仕込むようになりました。
これは水分量を管理しやすくする私なりの工夫です。
よくある失敗例②:切り返し不足
これは好気性発酵に限った話にはなりますが、酸素がある環境下ではたらく微生物の力を借りるため、空気の入れ替えをしてあげる必要があります。ぼかし肥料作りでは、特に内部のほうが酸素不足に陥りやすいため、かきまぜる作業が推奨されており、これを切り返しといいます。
切り返しが十分でないと発酵が均一に進行せず、質のいいぼかし肥料にはなりません。
切り返しの頻度は諸説あり、作る規模にもよりますが、私はベランダで作れる本当に少量しか仕込まないため1~2日ごとに切り返しをしています。
よくある失敗例③:pH
微生物のはたらきを左右する重要な要素としてpHがあります。基本的に分解に寄与する微生物は中性域付近(pH6~8)で活発になるため、過度にアルカリ性、酸性の原料を使用すると、発酵がうまく進まないケースも考えられます。
例えば、カルシウムやマグネシウムを補うために苦土石灰をぼかし肥料に混ぜ込みたいとします。しかし、苦土石灰はアルカリ性が強いため、入れすぎると発酵にかかわる微生物に悪影響が及ぶ可能性も考えられます。
そのため特にアルカリ性、酸性の資材を入れる際には入れすぎに注意しましょう!
微生物のはたらきを理解するには、過去のこちらの記事をご覧ください↓
rikeinokateisaien.hatenablog.com
ぼかし肥料に苦土石灰を入れる場合は、少量にするかもしくは完成が近くなってから混ぜ込むのもいいかもしれません。
また、ぼかし肥料作りには牡蠣殻石灰が使用されることが多いようです。牡蠣殻石灰は有機石灰でアルカリ度も低い緩効性石灰ですのでpHへの大きな影響が少ない、つまり発酵への影響が少なく済みます。
さいごに
今回はぼかし肥料作りの予備知識編ということで、配合のコツ等の基礎知識をご紹介しました。
これを機にぼかし肥料作りにチャレンジしてみるという方が増えると嬉しいです。
ぼかし肥料作りに慣れていない方は、米ぬか:油かずを2:1 or 3:1くらいの割合で仕込むと失敗しにくいのではないでしょうか。
また、これまでにぼかし肥料を作ったことがある人も、改めてぼかし肥料作りの基礎を復習する場になりましたら幸いです。
ぼかし肥料作り実践編をお楽しみに!
それでは次の記事で会いましょう!
おいしい野菜作りの基礎!ぼかし肥料から考える微生物と発酵
こんにちは、けいたろうです。
近頃はSDGsという言葉をよく聞くようになりましたね。
農業分野でも最近は循環型で環境にやさしい有機栽培、有機肥料が注目されており
すでに有機栽培に取り組まれている方も多いと思います。
かくいう私もぼかし肥料を見よう見まねで手作りし、それらしく有機栽培を楽しんでいます。
でも、ある時ふと思ったのです。
「家庭菜園3年目を迎えようとしているのに、全然理論的なことを理解していないじゃないか!」と。
これは一から勉強すべきだと思い、本を読みました。
今回は私が勉強したことをアウトプットする場でもあり、皆さんにもぜひ知ってほしい微生物のはたらきをご紹介しようと思います。
この記事はこんな人におすすめ!
・これからぼかし肥料作りにチャレンジしたいと考えている人
・ぼかし肥料は作ったことがあるけど、フィーリングで作っている人
・微生物の働きを詳しく知りたい人
ぼかし肥料とは?
今回はぼかし肥料を例に、微生物のはたらきを紹介します。
ぼかし肥料とは複数の有機物を混ぜて、微生物の力で発酵・分解させた肥料のことをさします。
”ぼかし”とは色々な肥料が混ぜられることで肥料がぼかされている状態を差し、この名がついたようです。
私はぼかし肥料を主に追肥に使っていますが、元肥としても使用でき万能な肥料として知られています。
これはぼかし肥料が即効性と緩効性を兼ね備えた性質を持っているためです。
こんな便利なぼかし肥料が手作りできるとなったら、皆さんも挑戦したくなりませんか?
これを機に微生物についてよく知っていただけたらと思っています。
微生物を知ればぼかし肥料の見方が変わる!!
①微生物による発酵
そもそも「発酵」とは微生物が有機物の形態を変化させることをいいます。
別の言葉でいうと「分解」という言い方もできます。
微生物は植物がそのままでは吸収できない栄養素を、植物が吸収できる形に分解してくれる働きがあります。
微生物をよく知り、微生物のはたらきをうまく活用することで植物にとってよりよい環境を作ってあげることができるのです。
②発酵の際にはたらく主な微生物
皆さんは発酵食品をご存じでしょうか。
味噌、納豆、ヨーグルト、キムチ、酒、醤油・・・挙げたらきりがないくらい身近に発酵食品はあふれています。
これらも微生物(菌)によって発酵させて作られています。
このような発酵には麹菌、納豆菌、乳酸菌、酵母菌が主な発酵菌となっており、
実はぼかし肥料作りでも、この4つの菌が大活躍しています。
それぞれの菌が好む温度やpH等をよく知ることで、微生物マスターになりましょう!
麹菌
・好きなpH:微酸性
・好きな季節:冬
・好きな場所:落ち葉などの下
味噌、醤油、みりん、酢等は和食に欠かせない調味料であり、これらの製造には麹菌がなくてはなりません。
麹菌は2006年に日本醸造学会により「国菌」として認められており、日本人にはなくてはならない菌です。
そんな麹菌はぼかし肥料作りで一番早くに活動を始める菌です。
有機物中には炭水化物が存在しており、この炭水化物を分解する役割を担っています。
麹菌は炭水化物(デンプン)を細かくし、ブドウ糖や果糖にまで分解します。
そのため、この分解反応が進んでいる最中はぼかし肥料から甘酒のような甘い香りがします。
ぼかし肥料を作る際には、ぜひ鼻も使いながら微生物の働きを感じてください!
納豆菌
麹菌が作り出した糖をエネルギー源として、次第に納豆菌のはたらきが活発になっていきます。
分解を得意とする菌で、タンパク質をアミノ酸に変える役割を持っています。
タンパク質以外にも脂肪、炭水化物等の分解も進める菌で、納豆菌による分解がきちんと進むかが、ぼかし肥料の質を左右すると言っても過言ではありません。
ただし納豆菌による分解が暴走するとアミノ酸がさらに分解され、有毒なアンモニアになってしまう可能性があります。
それを防ぐにはぼかし肥料が醤油のようなアミノ酸のにおいがしてくるか、手触りがサラサラしてきた時に、発酵で発生した熱を冷まして、納豆菌の活性を抑えることが効果的です。
乳酸菌
・好きなpH:酸性
・好きな季節:春~梅雨、秋
乳酸菌は麹菌や納豆菌が作った糖を食べて増えてくる菌です。
乳酸菌自体は分解等はあまり行いませんが、乳酸菌から出される有機酸は土の中にある溶けにくいミネラル分を植物が吸収しやすい形に変化させます。
また、有機酸はその名の通り酸であるため雑菌等の消毒も行ってくれます。
余談ですが乳酸菌による整腸効果は乳酸菌が腸内で作り出す酸により、腸内が酸性になり、悪玉菌を殺菌してくれるためなんだそうです。
酵母菌
・好きなpH:酸性
・好きな季節:秋
・好きな場所:果実表面
別名を合成屋ともいうことができるのがこの酵母菌です。
麹菌、納豆菌が細かくした有機物を、植物にとって吸収しやすい形に再合成し、
ぼかし肥料の仕上げを担当する菌です。
酵母菌は酸素がない嫌気性下ではたらくと、アルコールを作り出す性質があるため、
ぼかし肥料を作る際はよく混ぜて酸素を全体的にいきわたらせる必要があります。
活発に活動する温度域、pHをグラフにしてみました。
図に示した範囲外でも活性が高い場合も多々あるようですので、あくまでも目安としてください。
おまけ:EM資材
EMとはEffective Microorganismsの略で、有用微生物群という意味があります。
農家さんなどは、よく畑にEM資材を入れておられるかと思います。
EM資材はメーカーによる内容物の差はありますが、基本的にはこれまで説明したような発酵にいい影響を与えてくれる微生物がたくさん詰まっている資材です。
このような資材は土壌散布により、土中の有用微生物を増やす効果があり豊かな土にしてくれます。
EM資材はぼかし肥料にも使うことができ、発酵を促進させる効果も期待できます。
私は畑の土などをぼかし肥料に入れますので、私にとっては畑の土が天然のEM資材です(笑)
微生物が増えると土が豊かに!
ここまで読み進めた皆さんは、ぼかし肥料にはたくさんの微生物が含まれていることがわかったと思います。
ぼかし肥料を畑に散布することで、畑に存在する麹菌、納豆菌、乳酸菌、酵母菌といった有用な微生物たちが増えます。
これらの微生物がたくさんの有機物を分解し、植物にとって吸収しやすい養分が生み出されるため、植物の生育がよくなるのです。
皆さん、微生物をよく知ることがおいしい野菜づくりの第一歩ということがわかっていただけたでしょうか?
さいごに
今回は微生物のはたらきについて、ぼかし肥料を例に少し詳しく説明しました。
微生物のはたらきがわかれば、ぼかし肥料作りの最中でも「今は、納豆菌がはたらいてくれているな」とか「においからすると今は発酵初期段階で、麹菌の活性が主のようだ」などと微生物博士気分でぼかし肥料作りに取り組めますね!
今回は微生物のはたらきがメインでしたが、ぼかし肥料作りの実践編の紹介記事も作成予定ですので、よろしければそちらも見ていってください!
それではまた次の記事で会いましょう!
1位は以外な〇〇!?育てて楽しかった夏野菜おすすめベスト3【2021年夏編】
こんにちは、けいたろうです。
皆さん、夏野菜の栽培計画はありますか?
育てる野菜は品種まで決めている!という方や私のようにこれから考える!
という方まで様々だと思います。
まだ育てたい野菜が決まっていない方に向けて、今回は私が昨年の夏に育てていて楽しかった野菜をランキング形式で3つご紹介します。
この記事はこんな人におすすめ!
・おすすめの夏野菜が知りたい方
・今年育てる夏野菜を悩んでいる方
・収穫の楽しさを重視する方
おすすめ野菜ランキング
栽培が楽しかった夏野菜:第3位 ピーマン
おすすめ野菜第3位はピーマンです。ピーマンは夏野菜の定番ですよね。
品種改良等が進み、現在は様々な品種が店頭に並びます。
種類が多くて、毎年どれを育てようか品種選びに悩んでしまいますよね。
私としては、せっかく家庭菜園で育てるならスーパーには並ばないような「こどもピーマン」や「ジャンボピーマン」と珍しい品種も面白いかなと思っています。
ピーマンは私が初めて育てた野菜なので、家庭菜園の楽しさを教えてくれた恩人ならぬ恩野菜(?)でもあります(笑)
ピーマン栽培の大きな魅力は収穫期間が長く楽しめることではないでしょうか。
私は比較的肉厚系のピーマンが好きなので、昨年は「ニューエース」を選びました。
ちなみに一昨年は「京みどり」をプランターで育てていて、収穫の数が多くこれはこれで楽しかったです。
皆さんのおすすめ品種があれば、ぜひコメント等で教えてください!
栽培が楽しかった夏野菜:第2位 トマト(ソバージュ栽培)
おすすめ野菜第2位はトマトです。トマトも夏野菜の定番ですよね。
実は私が一番好きな野菜はトマトです。栄養価も高くておいしいって最高の野菜ではないですか?
トマトはこれまで失敗知らずで、収穫最盛期になると毎日収穫でき、仕事帰りの楽しみの一つでもありました。
トマト栽培の大きな魅力は、収穫量とそのおいしさではないでしょうか。
トマトはミニトマト、中玉トマト、大玉トマトがあり、私のような初心者はミニトマトや中玉トマトで十分満足できています。家庭菜園向けの品種も多種多様で、飽きもきません。昨年私が育てた品種はシシリアンルージュ(中玉)で、ソバージュ栽培で育てました。もしソバージュ栽培のことが気になりましたら、過去の記事で紹介していますのでこの記事もご覧ください。↓
rikeinokateisaien.hatenablog.com
番外編:万能なおすすめ野菜
1位の発表の前に惜しくもランキング外になってしまったものの、特に私のような初心者の方におすすめしたい野菜をご紹介します。
もったいぶらずに紹介します。ずばり、シソです!
シソは私が利用しているシェア畑の他の区画を見ていても多くの方が育てている印象です。
基本的には放任でもよく育ちますし、支柱や誘引作業は特に行わないため手間もかかりません。
あまり苦労せずに収穫できてしまうので、あまり楽しいという感情はわかず、今回はランキング外となりました。
でもシソは、何かと料理に合う!!
刻んで薬味として使うもよし、ささみカツなどに挟んでもよし、とにかく万能です。
手間がかからないことや、スーパーで1袋100円くらいで販売していることを考えると、
かなりコストパフォーマンスが高い野菜ではないかと思います。
ちなみに昨年私は黒マルチあり、なしの2つの畝でシソの栽培をしましたが、黒マルチありのほうが葉が柔らかくなりましたよ。
シソの葉を柔らかくするには水が重要ということでしょうね。
皆さんもぜひ、マルチありの畝でシソを育ててみてください!
栽培が楽しかった夏野菜:第1位 ズッキーニ
栄えある1位に輝いたのは、ズッキーニです!
ズッキーニは栽培するまで、きゅうりの仲間かと思い込んでいました(笑)
しかし調べてみるとかぼちゃの仲間ということがわかり、驚きました。
しかもズッキーニは雄花と雌花が別々で咲く、雌雄異花ということが判明。
私のような小さなシェア畑で行う小規模栽培では受粉がうまくいかず、結実しないリスクが多大にありました・・・しかもスペース的に2株しか育てられなかったのです。
私は毎朝畑に出向き、人工授粉を行っていました。(ズッキーニの花は午後になるとしぼんでしまうため、朝しか受粉のタイミングがない!)
その効果もあり、昨年は1株あたり15本程度は収穫できました!!
さらに受粉率を上げる工夫として、1株をダイナー(緑色のズッキーニ)、もう1株をオーラム(黄色のズッキーニ)と、異なる品種を選びました。
この選択がばっちり当たりました!
品種が異なっても受粉はしますので、そこは心配いりませんし、
同じ品種を育てている場合、雄花や雌花ばかりが偏って咲いてしまった際に全ての株で同時に雄花や雌花ばかりが咲いてしまう可能性があり、そうなるとせっかくの受粉の機会を逃してしまいます。
そのため、少しだけ性状が異なる品種を選ぶことで、そのリスクを低減させました。
そのおかげもあってか雄花、雌花がどちらかの株にはほぼ確実に咲いており、
相互に受粉をしあえるいい関係でした!
皆さんも限られた株数しか育てられない場合は、この方法をぜひ試してみてください。
ズッキーニ栽培の大きな魅力は人工授粉が成功し実が生ることの喜び、そして、ダイナミックな成長を見ることができる点ではないでしょうか。
余談ですが、私はズッキーニ栽培にすごく満足しています。
しかしお隣の区画のおばあちゃんは「昔はやったことがあるけどあまり獲れないし、あいしくないから長らくやっていない」と言っていました。
私の義理の祖母も昨年育てていましたが「あんまりおいしいものではなかった」と言っていました。
私としてはクセもなく食べてもおいしかったので、場所がたくさんあれば毎年育てたいくらいなのですが、味覚や感じ方は人それぞれですね。
もし、自分の舌でその味を確かめたい!という方はぜひこの夏に栽培に挑戦してみてください!
育ててみたら、ぜひコメント等で感想を教えてくださいね。
さいごに
私は限られたシェア畑の区画で家庭菜園を楽しんでいますので、昨年育てた夏野菜は全8種類です。今年はもっと違う野菜にもトライしたいです。
今年の夏はどんな野菜を育てようか、考えるだけでわくわくします!
皆さんも一緒に夏野菜栽培を楽しんでいきましょう。
Twitterもやっていますので、よかったらこちらもチェックしてみてください↓
理系の家庭菜園術 (@ZgZkxslChZr9rns) | Twitter
それでは次の記事でお会いしましょう!!
【大豊作!!】トマトのソバージュ栽培【実録】
こんにちは、けいたろうです。
だんだんと日が長くなり、寒さも少しは和らいできましたね。
家庭菜園に慣れている方々はそろそろ夏野菜の育苗を始める頃ではないでしょうか?
私のように苗は購入するよ、という方も「今年はどんな夏野菜を育てようかな」と思いを馳せている方もいるはずです。
そこで今回は昨年の私の実体験に基づいた、トマトのソバージュ栽培についてご紹介したいと思います。
ソバージュ栽培って比較的新しい考え方で、調べてもあまり情報がでてこないんですよね・・・
この記事が少しでも、皆さんのお役に立てますと幸いです。
あの・・・そもそもソバージュ栽培って初めて聞くのですが・・・?
大丈夫!
今回はまだ試したことがない人でもわかるように、詳しく解説しますよ
ソバージュ栽培はこんな人におすすめ!
・とにかくたくさん収穫したい方
・お仕事などでなかなかお世話ができない方
・新しい栽培方法にトライしてみたい方
ソバージュ栽培とは
そもそもソバージュの意味って?
「ソバージュ」はフランス語で「野生の」という意味があります。
ソバージュというヘアースタイルを耳にしたことがあるかもしれません。
無造作感をおしゃれとする野性味のあるウェーブのかかった髪型をさします。
栽培における「ソバージュ」
野菜栽培におけるソバージュとは、ずばり”野生に近い”状態で栽培をすることです。
後ほど詳しく説明しますが、わき芽かきなんてしません!
「いやいや、わき芽をかいて1本仕立てや2本仕立てにするのが一般的じゃないの?」なんて声が聞こえてきそうですが、ソバージュ栽培ではこれが正解なのです。
これまで不正解と言われてきた栽培法こそ、今回ご紹介するソバージュ栽培なのです。
なんだかソバージュ栽培に興味がわいてきましたか?
ソバージュ栽培との出会い
私がソバージュ栽培に出会ったのは、GABA高蓄積トマト「シシリアンルージュ ハイギャバ」というトマトのモニター栽培に参加したことがきっかけでした。このトマトは通常のシシリアンルージュよりもGABA含有量が多くなるようにゲノム編集されたトマトです。
ゲノム編集という言葉は少し怖いイメージもありましたが、品種改良を効率的に行う手法だということがわかり、モニターに参加することにしました。
私はそれまでシシリアンルージュという品種を聞いたことがなかったのですが、調べてみると「加熱用の地中海トマトで、ソバージュ栽培に適している」とのこと。私はここで初めて「ソバージュ栽培」という言葉を知りました。しかし、比較的新しい栽培法で、調べても十分に情報が手に入らず、手探りの状態で栽培をスタートさせました。
シシリアンルージュ ハイギャバにご興味のある方は下記リンクから
ソバージュ栽培のメリット
ソバージュ栽培で私が個人的に感じたメリットは2つあります!
①省力化できる
②収穫量が増える
順番に説明していきます。
メリット:①省力化できる
週末ファーマーからすると、こんなにありがたいことはありません!だってわき芽は放置でいいのですから!
先ほどからご紹介しているように、この栽培ではわき芽のお世話はほとんどしなくてもいい栽培法です。ここで”ほとんど”と言っているのは、株元の風通しをよくするために下のほう(1~2段目の果房あたり)までのわき芽はかいたほうが理想だからです。
しかし、株元以外は本当に放任です。私が実際に栽培していた写真をあとでお見せしますが、本当に生い茂っていますよ。笑
ちなみに昨年はコンパニオンプランツとして、スイートバジルとともに栽培しています。
メリット:②収穫量が増える
これは単純な話ですが、わき芽を取らない分果房が増えるという理屈です。昨年は4株栽培していましたが、ピーク時には4株合わせて毎日20個~30個くらい収穫できていました。シーズン通してだと計600個以上は収穫できました。昨年は長雨のため、栽培を途中で断念しましたが、長雨がなければもっと収量は増えていたと思います。
そのほかのメリットとしてソバージュ栽培では葉や根が旺盛に育つことから、裂果や尻腐れなどが生じにくいようです。昨年は結構裂果させてしまいましたが、確かに尻腐れの症状は全く見られませんでした。
ソバージュ栽培のデメリット
ソバージュ栽培で私が感じたデメリットは2つあります。
①収穫しづらくなる
②品種が限られる
③毎日畑を見に行く必要がある
デメリット:①収穫しづらくなる
栽培のためには枝を支えるためのネットが必要となってきます。私は10cm網目のネットを使用しましたが、ネットの向こう側にあるトマトは手を網目の中に入れなければならず、若干取りづらかったです。ただ私はそれほど手が大きくないので、そこまで大きなストレスにはなりませんでした。それにたくさん獲れるのであれば、こんなデメリットなんて気になりません!
デメリット:②品種が限られる
これは少しネックだと思います。一般的にソバージュ栽培が向いているとされる品種を列挙します。
どれも家庭菜園ではあまり一般的ではないですよね?
ミニトマトや中玉トマトであればわりと樹勢も強く、ソバージュ栽培に適した品種もあるのではないか?と考えていますが、これは今後検証していく必要がありそうです。もし皆様の中で、すでに色々試されている方がいらっしゃたら教えてください!一般的な品種でもソバージュ栽培ができたら、私も絶対に試してみます!!
デメリット:③毎日畑を見に行く必要がある
これは嬉しい悲鳴ということですが、毎日たくさん獲れるので1日でも収穫をさぼると熟したトマトが大量に生った状態で放置されることになります。栄養素を未熟な果房に届けるため、こまめな収穫が理想です。私はほぼ毎日仕事終わりに畑に出向いていました(笑)
私のソバージュ栽培
では私が昨年実際に行った栽培を具体的に紹介します。
少し見づらいのですが、丸で囲った部分にトマトを植えています。
株間1mで2畝にまたがるように合掌型支柱を立てました。
これだけ広く株間を取っておかないと、わき芽が育つスペースがなくなってしまうのですね。実際に栽培をしてみた感想ですが、90cm~100cmの株間が適切な気がしています。
泥はね対策として、黒マルチも敷いています。夏は雑草がすぐ生えてきますから週末ファーマーとしては雑草対策も兼ねられて一石二鳥です。
ネットは10cmの網目のものを使用しました。枝はところどころ網に固定する必要があります。私は麻紐を使っていましたが、誘引用のテープなどでもいいそうです。収穫のしやすさを優先して、大きな網目にすると今度は枝の重みに耐えられるか心配かな、と感じましたので10cmは結構いい選択だったと思っています。
ソバージュ栽培では背丈も大きくなることが予想されますので、私は210cmの支柱を購入して使用しています。
シシリアンルージュは中玉トマトですがソバージュ栽培では実が少し小ぶりになりますので、ミニトマトサイズがたくさん収穫できました。加熱用トマトですが、生でもおいしくいただけます。しかし加熱用トマトだけあって、トマトソースを作ったときはそのおいしさにびっくりしました。コンパニオンプランツであるバジルとの相性も最高ですので、トマトとバジルはぜひ一緒に育ててみてくださいね!
さいごに
ソバージュ栽培の魅力は皆さんに伝わったでしょうか?私は質より量!というタイプですので、ソバージュ栽培が最高に気に入りました。まだソバージュ栽培を試したことがない、という方はぜひ今年の夏に試してみてはいかがでしょうか。私もシシリアンルージュ以外でソバージュ栽培に適した品種がないか、いろいろ試してみたいです。
今後も私流の家庭菜園術や、その他いろいろな記事を書いていく予定ですので、ぜひTwitterのフォローをよろしくお願いします↓
理系の家庭菜園術 (@ZgZkxslChZr9rns) | Twitter
次の更新をお楽しみに!