理系と学ぶ家庭菜園術

理系なりの解釈で野菜づくりを学んでいきます

狭い畑でも連作はできる!?連作障害の基本対策3つを解説【基礎編】

 

こんにちは、けいたろうです。

皆さんが一度は聞いたことがあるであろう、連作障害

私は限られたスペースしかない貸農園で家庭菜園をしていますので、気を付けていても連作せざるをえないことが多々あります。

今回は私のように連作を避けたいけれど、避けられない方に向けて連作障害の原因や連作障害が出にくくなる基本的な対策を解説したいと思います。

 

この記事はこんな人におすすめ!
・連作障害について詳しくなりたい人
・連作障害の対策を知りたい人
・狭い畑で連作せざるをえない人

記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。

この記事の結論
連作をするなら、3つの基礎的な対策を押さえよう!

 

 

そもそも連作とは

まずは連作とは何か、今一度定義を確認しておきましょう。

連作とは、同じ時期同じ場所同じ科の野菜を育てることを指します。

ここで気を付けるべきは、違い野菜であっても「同じ科」であれば広義では連作となることです。

私の場合は夏はナス科、秋冬はアブラナ科を育てることが多く、狭い畑において連作は

避けては通れない道です。

 

連作障害とは

連作障害は、連作によって野菜の生育が悪くなることを指します。

土壌中の病原菌センチュウによる被害のほか、根から分泌される生育阻害物質の蓄積によっても生育不良が生じます。

各科の代表的な連作障害をご紹介します。

以下の症状が出たら、一度連作障害を疑ってみましょう。

 

①ナス科の半身萎凋病

②ナス科、ウリ科の青枯病

アブラナ科の根こぶ病、萎黄病

④ウリ科のつる割病

⑤ネギ科の黒腐菌核病

⑥ジャガイモのそうか病

 

連作障害の原因

連作がどうして野菜の生育に悪影響を及ぼすのでしょうか。

これには大きく分けて3つの原因があります。

 

1、病原菌が増えていく

土の中には無数の微生物が暮らしていますが、その中のごく一部には病気を引き起こす病原菌も存在します。

病原菌は種類ごとに好みの野菜(科)があり、毎年同じ場所で同じ科も野菜を育てていると、特定の病原菌ばかりが増えていきます。

病原菌は土中の残渣や土中で生き残り、また翌年に同じ科の野菜を育てた際に、

病気にかかりやすくなってしまいます。

 

2、悪玉線虫がふえていく

線虫というのは土中に暮らしている目に見えないくらい小さな糸状の生物です。

線虫のほとんどは有機物等を摂取して生活していますが、一部に野菜の根に寄生する悪玉線虫と呼ばれる種類の線虫がいます。

悪玉線虫とは、ネコブセンチュウネグサレセンチュウシストセンチュウなどです。

とりわけネコブセンチュウは多くの野菜に被害を与えるため非常に厄介です。

これらの線虫は野菜の根に寄生するなどして、植物を枯らす場合があります。

 

3、生育阻害物質が蓄積していく

根は養分や水分を吸い上げる大切な役割を担っています。

そのため根を守るための防衛物質を分泌する植物も存在しています。

たとえばエンドウは根から生育阻害物質(アレロパシーを分泌しており、

この周囲に雑草が生えにくくしています。

このような物質は土中に蓄積されていくので、例えばエンドウを連作すると、その土中にはどんどん生育阻害物質が蓄積してしまい、野菜を育てた際にうまく育たなくなります。

アレロパシーを分泌する植物は他にアスパラや、コンパニオンプランツとしても有名なマリーゴールドなどがあります。

 

連作をするための基礎対策

①畑の土の立体構造をつくる

連作障害の主な原因である病害から植物を守るためには、植物が健全に育ち、自衛能力の高い野菜を育てることが大切です。

そのためには根はりは非常に重要なポイントとなり、この根はりに影響するのが土の構造です。

下の図のように下層、中層、上層に分けて土の大きさの異なる3層を作ると水はけがよく、かつ水持ちのちょうどよい物理的構造になります。

 


②残渣の分解を促進する

連作をする際には必ずやったほうがいい対策です

連作を引き起こす病原菌は地中の残渣に潜んでいます。

病原菌の住処(残渣)をなくすことで、病原菌を減らす連作障害を防ぐ基本的な対策になります。

そのためには微生物の力を借りて、残渣の分解を促進する必要があります。

また、微生物の中には好気性発酵をするものが多くいますので、酸素を供給するために土を耕す作業も重要となります。

分解を促進するためには具体的に以下の方法が考えられます。

 

・堆肥をまき、植え付けまでに2回耕す

・微生物資材をすきこむ

 

微生物のはたらきについてはこちらをご参照ください。

微生物資材は手作りすることもできます。

手作り微生物資材「えひめAI」についてはこちらをご参照ください。

 

③病気に強い品種を選ぶ

品種改良が盛んにおこなわれている今、毎年のように種苗メーカーから様々な品種が開発されています。

この品種選びは連作対策として基本中の基本となります

昨年の栽培状況等を慎重に考慮して下記の2種類の苗や種を選ぶとよいでしょう。

特定の病気にかかりにくい「抵抗性品種」

病気にかかっても重症化しにくい「耐病性品種」

 

余談:実は連作障害は連作が解決する!?

実は連作は3~4年程度の短期的スパン(3年ほど)で見たときには野菜にとって悪影響がありますが、中期的(4年目以降)にみると生育が安定してくることがわかっています。

これには畑の微生物環境が大きく関わっています。

連作をすることで、畑にその野菜の栽培に適した善玉微生物が増え始め、

病原菌の温床となる残渣の分解も年々早まっていきます。

残渣が分解されればそれは養分として次の野菜の養分として使われ、いい連鎖が続いていきます。

途中、連作障害に苦しむことになりますが長期的に見れば少々の不作は耐えられる・・・かもしれません。

 

まとめ

今回は狭い畑で輪作ができないような方向けに、連作栽培をする際の基本的な対策3選をご紹介しました。

実は連作障害は今回ご紹介した3選を実施したうえで、できればさらに対策を打ちたい厄介な症状です。

現在連作障害の対策【応用編】の準備をしておりますので、ご紹介できる日をお待ちください。

 

それでは次の記事で会いましょう!