これを知って失敗知らず!ぼかし肥料の作り方【予備知識編】
こんにちは、けいたろうです!
突然ですが、肥料はホームセンターや園芸店で購入するものと思っていませんか?
・・・はい、それ実は昔の私です(笑)。
家庭菜園を初めてから、自分で肥料を作ることができることを知り、しかもその肥料づくり自体が楽しいことに気が付きました!
今回はぼかし肥料についてご紹介していきたいと思いますが、作り方がわかるだけではなく、適切な配合やその理由等もご紹介するので、これを読み終えた皆さんはきっと自分だけのオリジナルぼかし肥料が作れるようになりますよ。
また、これまで何度も作ってるよ!という人も、少し変わったぼかし肥料もご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
この記事はこんな人におすすめ!
・これからぼかし肥料作りにチャレンジしたいと考えている人
・自分流オリジナルぼかし肥料を作りたい人
ぼかし肥料とは
そもそもぼかし肥料とはどういった肥料をさすのでしょうか。ぼかし肥料とは、一般的に有機質を発酵させて作る肥料のことをさします。一般には2つ以上の有機質や人によっては無機質なども配合して作られています。ぼかし肥料は畑に散布した後も分解が継続するため、持続性(緩効性)があり、かつ化学肥料のように即効性もある万能肥料です。
これを知れば人と差がつく!
ぼかし肥料作りのレシピをご紹介する前に、まずは基本を押さえましょう。これを知っているか知らないかで、今後のぼかし肥料づくりに大きな差が出ますよ!
発酵の種類を知る
実は単に”発酵”といっても、ぼかし肥料づくりにおいては2種類あります。
・好気性発酵
・嫌気性発酵
この2つについて、簡単に説明します。
好気性発酵
空気(酸素)がある状態で活動する微生物の働きで有機物を分解する発酵です。
古くからおこなわれてきた堆肥作りは基本的にこの好気性発酵を利用しています。
メリットとしては
・仕上がりが早い
・早く効く
・仕上がりにムラがない
といったことが挙げられます。
好気性発酵は酸素を必要とする麹菌や納豆菌が活発にはたらくことができるため、植物の栄養となるアミノ酸が豊富に含まれます。
嫌気性発酵
嫌気性発酵は反対に空気(酸素)がない状態で活動する微生物の働きで有機物を分解する発酵です。
メリットとしては
・つくるのが簡単
・養分ロスが少ない
といったことが挙げられます。
嫌気性発酵では酸素を必要としない乳酸菌や酵母菌が活発にはたらくため、好気性発酵に比べ分解が進行しないものの、有機質が分解されやすい状態に変化します。分解が進まない分、ガスとして逃げていく栄養分も少ないのです。土に散布すると好気性の麹菌や納豆菌がはたらき、肥料としての効果がきちんと表れます。
C/N比を知る
ぼかし肥料を作るうえで、避けては通れないお話です。
「しーえぬひ」と読み、有機物中に含まれる炭素(C)と窒素(N)の割合を数値で表したものです。
このC/N比が大きいほど、その有機物には炭素が多く含まれているということになります。
微生物の分解の過程では、炭素がCO₂として空気中に放出され、同時に窒素は微生物中に取り込まれタンパク質となります。ぼかし肥料の配合が炭素>>窒素というアンバランスな割合だと窒素が先になくなってしまい、微生物の活動ができなくなってしまうんです。つまり発酵がそれ以上進まなくなるので肥料としての効果はそれ以上期待できません。
これを「窒素飢餓」といいます。
この窒素飢餓を防ぐためにもC/N比のバランスをよく考えて、ぼかし肥料を仕込む必要があるのです。
ここで皆さんはぼかし肥料を仕込む際のC/N比については微生物が一番活発にはたらくことができる20~30程度がいいということを覚えておいてください。
でも、C/N比なんて分析機器もないのにわからないよ・・・
大丈夫です。おおよその目安ですがのC/N比を一覧にしましたので、参考にしてください。
全部を覚える必要はないと思いますが硬いものほどC/N比が高く、分解に時間がかかるイメージです。
この表を参考にしながら式を立てて計算をすれば、正確なC/N比で仕込むことができます。
ぼかし肥料によく使われる米ぬかがC/N比20程度と、ちょうどいい塩梅のC/N比となっているためぼかし肥料作りに慣れていない方は米ぬかをベースにするとバランスがとりやすいと思いますよ。
栄養素を知る
肥料というからには、窒素(N)、リン(P)、カリ(K)の配合にも気を付けたいところです。
ほとんどの人はどんな野菜にも使える肥料を作りたいと思いますので、バランスのいい配合を心がけましょう。
主な資材のN,K,Pの一覧を表にしますので、これらのバランスを考えながら配合を決定するといいかと思います。
私は基本的には米ぬかをベースとしてぼかし肥料を作っていますが、窒素分を補うために菜種油かすも配合しています。
例えば米ぬか:菜種あぶら粕=2:1に配合すると、
C/N比が約18、N:K:P=4:4:1.3となりますので、これだけでもまあまあバランスの取れた配合になると思います。
理想はここに鶏糞や魚粉など様々な資材を入れることですが、家庭菜園レベルでこれを実現するのはなかなかハードルが高いのではないでしょうか?
そのため、私のように小さな菜園を楽しんでいる方はまずは米ぬかと油かすを用意して、この2種類の有機質を使ってぼかし肥料作りに慣れることをおすすめします。
私は、米ぬか:菜種油かす=2:1を基本にして、じゃがいもなどカリを多く必要とする野菜には草木灰等でカリ成分を補うなど、必要に応じて肥料分を調整しています。
また、微量栄養素などを配合することで土に足りない栄養分を補うこともできます。例えばカルシウム分を補うために牡蠣殻石灰などを入れる人もいらっしゃるようです。
ピーマンやトマトなど尻腐れの予防としても、カルシウムは必要になりますので牡蠣殻石灰はとてもいい資材だと思います。
ここを押さえて失敗知らず!
ぼかし肥料を作る際のよくある失敗から、コツを押さえましょう。
①水分過多
②切り返し不足
③pHの偏り
よくある失敗例①:水分過多
よくある失敗としては水分過多があげられます。実は私も過去に水分で失敗したことがあります。
ぼかし肥料作りでは「水分が50~60%」が最適といわれています。そんなのわからないよ、という場合は、仕込んだ有機物を手で握ると固まり、指で触れると形が崩れる程度と覚えておきましょう。握ったときに水分がしたたり落ちるのはNGです。
私は以前ぼかし肥料を作る際にもみ殻を多く入れすぎてしまったために、手で握っても全然塊になってくれなかったことがあります。そのため塊になるまで水を入れ続けていたら水分過多になっていたようで、数日後腐敗したような嫌な臭いがしてきた、という苦い思い出があります。
どうやらもみ殻の中に水分が入り込んだせいで水分量がわかりづらくなってしまったようです。
以後、私はもみ殻を入れすぎないレシピでぼかし肥料を仕込むようになりました。
これは水分量を管理しやすくする私なりの工夫です。
よくある失敗例②:切り返し不足
これは好気性発酵に限った話にはなりますが、酸素がある環境下ではたらく微生物の力を借りるため、空気の入れ替えをしてあげる必要があります。ぼかし肥料作りでは、特に内部のほうが酸素不足に陥りやすいため、かきまぜる作業が推奨されており、これを切り返しといいます。
切り返しが十分でないと発酵が均一に進行せず、質のいいぼかし肥料にはなりません。
切り返しの頻度は諸説あり、作る規模にもよりますが、私はベランダで作れる本当に少量しか仕込まないため1~2日ごとに切り返しをしています。
よくある失敗例③:pH
微生物のはたらきを左右する重要な要素としてpHがあります。基本的に分解に寄与する微生物は中性域付近(pH6~8)で活発になるため、過度にアルカリ性、酸性の原料を使用すると、発酵がうまく進まないケースも考えられます。
例えば、カルシウムやマグネシウムを補うために苦土石灰をぼかし肥料に混ぜ込みたいとします。しかし、苦土石灰はアルカリ性が強いため、入れすぎると発酵にかかわる微生物に悪影響が及ぶ可能性も考えられます。
そのため特にアルカリ性、酸性の資材を入れる際には入れすぎに注意しましょう!
微生物のはたらきを理解するには、過去のこちらの記事をご覧ください↓
rikeinokateisaien.hatenablog.com
ぼかし肥料に苦土石灰を入れる場合は、少量にするかもしくは完成が近くなってから混ぜ込むのもいいかもしれません。
また、ぼかし肥料作りには牡蠣殻石灰が使用されることが多いようです。牡蠣殻石灰は有機石灰でアルカリ度も低い緩効性石灰ですのでpHへの大きな影響が少ない、つまり発酵への影響が少なく済みます。
さいごに
今回はぼかし肥料作りの予備知識編ということで、配合のコツ等の基礎知識をご紹介しました。
これを機にぼかし肥料作りにチャレンジしてみるという方が増えると嬉しいです。
ぼかし肥料作りに慣れていない方は、米ぬか:油かずを2:1 or 3:1くらいの割合で仕込むと失敗しにくいのではないでしょうか。
また、これまでにぼかし肥料を作ったことがある人も、改めてぼかし肥料作りの基礎を復習する場になりましたら幸いです。
ぼかし肥料作り実践編をお楽しみに!
それでは次の記事で会いましょう!