病害の8割はカビが原因だった!?土を見直して病気知らずの畑を目指そう!
こんにちは、けいたろうです!
野菜作りは、収穫する瞬間が楽しいと感じるかたも、成長する過程が
楽しいという方も色々いらっしゃると思います。
でも私はいつも楽しいことばかりではなく、闘いの連続だと感じています。
いつも”奴ら”と闘い続けているからこそ、野菜作りに成功した時の喜びが一層大きなものになっていると思うのです。
そう、その奴らとは「病害虫」です。
今回は特に「病害」についてピックアップしてみたいと思います。
この記事はこんな人におすすめ!
・病害を防ぐ方法を知りたい方
・土作りを頑張りたい方
記事の内容に入る前にまず結論を先に言います。
この記事の結論
病害の原因の8割は「糸状菌」
土壌の物理性、化学性、環境を整えることで病気が発生しにくい土壌にできる!
病害の原因
病害を発生させる原因の約80%が「糸状菌」です。
糸状菌(しじょうきん)は一般的にはかびと呼ばれている菌のことです。
かびと一言で言っても、糸状菌の仲間には醤油や日本酒等の発酵に用いられたり、抗生物質「ペニシリン」を生み出したりするものもいます。
糸状菌の中のごく一部が作物に悪さをします。
土壌中には、微生物が数えきれないほど存在していますが重量にして約70%を
糸状菌が占めていると聞いたら皆さんも驚くことでしょう。
露地栽培においては土が必須になりますが、この土と糸状菌、土と病原の関係は
切っても切れない関係であることがわかります。
今回は、糸状菌による病害を抑制するための土壌作りについて解説します!
糸状菌を知る
糸状菌とうまく付き合うためにまずはその特徴、個性を知りましょう。
①温暖で多湿な環境が好き
糸状菌は暖かく、湿っている場所が大好きです。
お風呂場にかびが発生しやすいため、イメージしやすいのではないでしょうか。
土壌の場合、表層から少し掘ると土が湿っていることが多々あります。
こういった環境はかびにとって格好の住処となっています。
またかびは胞子を飛ばすことで増殖しますが、雨が降ると胞子が飛散しやすいのだそう。
梅雨時は糸状菌には要注意です!!
②こんな病気は糸状菌が原因!
糸状菌がもたらす主要な症状は以下のようなものがあります。
・萎縮 ・変形 ・腐敗
・葉の変色
上記症状が出たら、まずは糸状菌を疑ってみてください。
また糸状菌がもたらす病気の中でなじみのあるものとして
・べと病
などが挙げられます。
病気の感染経路を知ろう
①空気感染
空気感染は胞子で増殖する糸状菌で起こりやすい感染経路です。
胞子が空気中を舞い、植物に付着した場所で増殖を始めます。
環境さえ整えば、数千キロ先に感染するなんてこともあるのだとか。
空気感染で発症しやすい病気は以下のものがあります。
②土壌感染
土壌微生物のうち、糸状菌は重量ベースで実に70%近くを占めていますが、
その中で悪さをする糸状菌はごく一握りです。
土壌由来の病気では主に根を介して感染します。
土壌感染で発症しやすい病気は以下のものがあります。
・根こぶ病
・萎凋病
③その他感染経路
そのほかにも、以下の感染経路があります。
・種苗感染(種苗の病気が次世代に感染する)
・水媒感染(胞子等が混入した水で感染する)
・人の手指や農機具の接触
などなど、作物はあらゆる方面から感染リスクを抱えています。
これからは特に糸状菌の住処である「土壌」と「病気」に着目して、
対策を見ていきましょう!
病原予防対策4選
作物を病原から守るために、どのような予防策が打てるのでしょうか。
事前にできる4つのことを覚えておきましょう!
予防策1:水はけのよい土壌を作る
復習ですが、基本的に糸状菌は高温多湿の環境を好みます。
逆に言うと高温多湿の環境がなければ、増殖を抑制することもできます。
下記対策をすることで増殖しやすい環境を断ちましょう。
水はけのいい土壌にするためには
水はけのいい土にする方法には、様々なものがありますがミミズの力を借りたり
水はけ改善効果が期待できる、下記資材を土にすきこんだりすることをおすすめします。
また、「自然の鍬」ことミミズを畑に増やしてあげることも大切です。
ミミズの増やし方については、過去の記事をご参照ください。
rikeinokateisaien.hatenablog.com
予防策2:連作を避ける
予防策2つめは連作を避けるということです。
連作というのは、同じ「科」の作物を同じ場所で続けて育てることです。
連作をするとその付近の土壌の栄養バランスが偏り、微生物の多様性が乏しくなります。
微生物の多様性が崩れると、植物を取り巻く環境が単調となるため軟弱な株となり
病気になりやすい体質となってしまいます。
人間で置き換えると過保護に育てられて、打たれ弱い人間になってしまうといったところでしょうか。
植物は多様性に富んだ環境で育ったほうが健康的に育ち、自衛能力も上がります。
実は連作については、諸説あるようで木嶋利男著「連作のすすめ」といった本も出版されています。
私はこちら未読ですので、いつか読んで記事にしたいと思います。
予防策3:土壌pHを適正に保つ
一般に土壌の適正pHは5.5~6.5程度と言われています。
土壌pH状態によっては、糸状菌由来の病原を
例えば酸性土壌に傾きすぎると根こぶ病やトマト萎凋病が発病しやすくなるし
アルカリ土壌に傾きすぎるとジャガイモそうか病等の発生が起きやすくなります。
土壌のpHには注意しながら栽培できるといいですね。
予防策4:菌で菌を制する
非常に面白い発想の病原菌予防策です。
病原菌が発生する前にいい菌を葉に住まわせておく、というのがコンセプトの予防策です。
この予防策は以下のように行います。
①米ぬかを畝間に撒いておき、糸状菌が増えやすいように湿らせておく。
②ここで発生した糸状菌が胞子を出し、作物の葉面で増殖する。
③これらの菌があらかじめ葉面を支配することで、病原菌がきたときには
居場所がないばかりか病原菌を食べたり、殺菌したりして定着できないようにする。
これは非常に面白いですよね。
米ぬかを直接畑に撒くというのは虫発生という点から注意が必要ですが
特にうどんこ病にかかりやすい作物を育てるときには試す価値ありです。
この方法で発生する糸状菌の種類にはには、
ケカビ、アオカビ、クモノスカビ、赤パンカビ等があります。
発病後の対応
色々対策頑張ったけど、発病しちゃった・・・
こんなときはどうしたらいいの?
大丈夫です。
農薬を使わない応急処置もありますので、これから2つの方法を紹介します!
木酢液を使う(葉面、土壌散布)
木酢液は木炭や竹炭を焼くときに出る蒸気に含まれる成分です。
溶液のpHは酸性で酢酸、アルコール分等を含みます。
酢酸やアルコール分には殺菌作用があり、症状がある葉や根元に対して使用すると、
病原菌の増殖を抑制することができます。
また木酢液には微生物のエサになる有機酸が多く含まれていることから、
散布した部分の微生物の活性を高め、健康的な土壌環境を作る効果もあります。
目的によって木酢液を使いこなしましょう!
※製品によって希釈倍率が異なります。希釈倍率は説明書きを参照ください。
重曹を使う(葉面散布)
重曹はアルカリ性の物質で、家庭での掃除などによく用いられますよね。
重曹を800~1000倍に薄めた水溶液をうどんこ病に散布すると、
かび胞子の形成が阻害されるため、うどんこ病には効果的です。
ただし、一気に効くものではないので、根気よく散布を続けましょう。
さいごに
これまで、土壌と病気の関係をお話してきました。
土壌の物理性(水はけ)、化学性(pH)、環境(微生物、養分の偏り)を整えることで
病気が発生しにくい土壌にすることができます。
皆さんも下記4つの予防策を実践しながら、病気になりにくい土壌作りをしていきましょう。
今回のおさらい
①水はけをよくする
②連作をしない
③土壌pHに気を付ける
④菌で菌を制する
それでは次の記事で会いましょう!